口頭陳述書 ― 青森市の基金流用とワクチン健康被害をめぐる訴訟

目次
  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

陳 述 書

令和八年五月八日

青森地方裁判所 御中

原告 葛 西  護

第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的

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一 原告について

私は、青森県青森市に居住する五十七歳の男性である。

私は、令和七年十月十五日に住民監査請求を行い、令和七年十月三十一日に青森市監査委員からこれを十六日で却下された後、本訴訟を提起した。本訴訟の事件番号は令和七年(行ウ)第三号である。

二 本訴訟の目的

本訴訟の訴訟物の価額は金一円である。私は金銭を求めていない。請求額を金一円としたのは、本訴訟が金銭目的ではなく、違法行為の確認と再発防止を目的とする公益訴訟であることを示すためである。

私が本訴訟を通じて求めるのは、以下の三点である。

一つ、青森市が令和六年度に行った、ワクチン生産体制等緊急整備基金の流用、会計科目偽装、予算書操作、補助金交付決定通知書の不存在等、一連の財務会計上の違法行為を、青森市自身が認めること。

一つ、ワクチン接種後の健康被害に苦しむ他の被害者のために、青森市が情報を公開すること。

一つ、二度と同じ不正が繰り返されないこと。

なお、本陳述書の第九章において、私は青森市に対して具体的な救済要求を述べる。

三 本陳述書の範囲

本陳述書は、以下の事項を扱う。

第二章において、本訴訟の前提として既に確定している二つの公的事実を述べる。

第三章において、私自身に何が起きたかを述べる。

第四章において、私が青森市に対して行った一連の働きかけと、それに対する青森市の応答を述べる。

第五章及び第六章において、青森市の答弁書(令和八年四月十日付)に対する反論を述べる。

第七章において、青森市議会の監視機能不全について述べる。

第八章において、訴状記載の予備的請求(基金流用と雑入計上の違法確認)を補強するため、本件基金流用に伴う組織的隠蔽の事実について述べる。

第九章において、私が青森市に求める救済要求を述べる。

第十章において、青森市民の皆さんに向けて、判断材料となる公的記録の存在を示す。

第十一章において、本訴訟の核心の問いかけと結びを述べる。

四 本陳述書が扱わない事項

本陳述書は、新型コロナワクチンの安全性又は有効性に関する医学的論争を扱うものではない。私は医師ではなく、医学的判断を行う立場にない。

本陳述書において扱うのは、青森市の財務会計上の違法行為、私自身の被害事実、青森市への働きかけと無応答、答弁書への反論、議会の監視機能不全、被害者救済の要求、及び裁判記録に残すべき公的記録の存在である。

ただし、私は被害者として、現に苦しむ市民を救うために必要な検査体制及び情報提供については、第九章において具体的に陳述する。これは医学的論争ではなく、現実の救済のための行政措置についての要求である。

目次
  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

第二章 既に確定している二つの公的事実

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本訴訟の前提として、本件基金流用問題について既に公的記録上に確定している二つの事実を陳述する。

一 第二百十七回国会衆議院財務金融委員会の事実

令和七年二月二十八日、第二百十七回国会衆議院財務金融委員会(第六号)において、川内博史議員及び原口一博議員が、ワクチン生産体制等緊急整備基金の流用問題を追及した(甲第三十一号証)。

川内議員は、令和二年六月二十九日に同時に発出された「新型コロナウイルスワクチン等生産体制整備臨時特例交付金」(交付要綱)と「ワクチン生産体制等緊急整備基金」(管理運営要領)において、「等」の位置が「ワクチン」の後ろから「生産体制」の後ろへ移動している事実を指摘し、「予算が通った後に生産体制の後ろに等を持ってきて何にでも使えるようにした」と質した。

これに対し、当時の仁木博文厚生労働副大臣は、当該基金を新型コロナワクチン接種事業及び地方自治体の事業に使用してもよいとする事実関係について、答弁を行うことができなかった。同委員会は、副大臣の答弁不能により、複数回の中断と再開を繰り返した。

国会という最高の立法機関の場において、政府を代表する立場の副大臣が、本件基金流用スキームについて答弁を行うことができず、議会が中断したという事実は、公的記録として残されている。

二 名古屋地方裁判所及び名古屋高等裁判所の二度の違法判決

新型コロナワクチン接種後の健康被害情報に関する情報公開請求への大部分黒塗り対応について、名古屋地方裁判所は令和五年六月十五日に違法と判断する判決を、名古屋高等裁判所は令和五年十一月三十日に同様に違法と判断する判決を、それぞれ下した(甲第四十七号証)。

司法判断は、地方裁判所と高等裁判所の二度にわたって、ワクチン接種後の健康被害情報の大部分黒塗り対応を違法と判断している。

青森市は、令和七年一月七日、私の予防接種健康被害救済制度に関する情報公開請求に対し、十一人分の開示文書を九九%黒塗りにして提供した(甲第四十一号証)。これは、上記名古屋地方裁判所及び名古屋高等裁判所の判決基準に照らして、明白に違法な対応である。

三 二つの公的事実が意味すること

これら二つの公的事実は、本訴訟の前提となる事実である。

第一に、本件基金流用スキームの不正性は、国会という公的な場において、副大臣の答弁不能・議会中断という形で既に記録されている。

第二に、ワクチン接種後の健康被害情報の大部分黒塗り対応は、司法によって既に二度違法と判断されている。

本陳述書は、これら既に確定している二つの公的事実を前提として、青森市が令和六年度に行った財務会計上の違法行為と健康被害情報の隠蔽について述べるものである。

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  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

第三章 私の身に何が起きたか

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一 私の立場

私は、令和四年六月二十九日に、青森市内のおきつ内科において、新型コロナワクチンの三回目の接種を受けた(甲第五十七号証)。

当時の接種は、特例臨時接種として、無料で行われた。私は、令和四年当時、新型コロナウイルス感染症の流行下において、職場における感染拡大の防止を考え、同接種を受けた。

ここで、私が本訴訟を提起した立場について明確にしておきたい。

私は、令和四年六月の特例臨時接種により後遺症を負った一被害者である。しかし、私は本訴訟が問題としている令和六年度の基金流用事業の直接対象者ではない。本件事業の対象は、六十五歳以上の高齢者及び六十歳から六十四歳の基礎疾患を有する者であり、私はその対象に含まれていない。

私が本訴訟を提起したのは、私自身の補償のためではない。私は、令和四年六月の特例臨時接種により後遺症を負った一被害者として、また同じ青森市民の一人として、新型コロナワクチン接種により健康被害を受けた青森市民全員の救済のために、本訴訟を提起した。

私は、本訴訟提起以前から、青森市のワクチン健康被害者全員の救済のために活動してきた。第四章で詳述するとおり、私は青森市に対し、新型コロナワクチン健康被害救済制度に関する行政文書の開示を請求し(甲第三十九号証)、青森市内において少なくとも十一人の健康被害申請者が存在することを把握した(甲第四十号証、甲第四十一号証)。これは、令和六年度の定期接種事業の対象となった高齢者に限定されない、青森市内における新型コロナワクチン健康被害者全体の実態の把握に向けた活動である。本訴訟もまた、この活動の一環として位置付けられるものである。

ただし、本訴訟が直接問題としているのは、令和六年度におけるワクチン生産体制等緊急整備基金の流用に関する青森市の財務会計上の違法行為である。本件基金流用事業の直接対象者は、六十五歳以上の高齢者及び六十歳から六十四歳の基礎疾患を有する者であり、私はその対象に含まれていない。私は本件基金流用事業の直接の被害者ではないが、過去のワクチン被害者として、また同じ市の住民として、青森市民全体の救済を求める立場にある。

二 就労不能までの経緯

令和四年十二月九日、私の職場においてクラスターが発生し、私は新型コロナウイルス感染症に罹患した。その後、症状が遷延し、後にコロナ後遺症と診断されるに至った。本件は、その後、労働災害として認定された。

令和五年四月一日以降、私は就労不能の状態となった。

その後、令和六年頃にかけての約一年三か月間、私はベッドから起き上がることができず、月二回の通院のみを続ける生活を送った。通院のたびに、私は風邪をひいた。免疫機能の著しい低下を自覚していた。

三 二つの診断

私は、二つの診断を受けている。

第一に、令和六年一月四日、青森市内のとよあきクリニックにおいて、コロナ後遺症の診断を受けた(甲第五十四号証)。

第二に、令和七年八月九日、同じくとよあきクリニックにおいて、ワクチン後遺症の診断を受けた(甲第五十三号証)。

ワクチン後遺症の診断に至るまでには、約一年八か月を要した。その経緯について、以下に述べる。

四 診断に至るまでの経緯

私は、自身の症状について、当初から複数の医療機関に相談した。

令和六年四月二十一日、青森慈恵会病院において、私は診察を拒否された(甲第四十八号証)。

ワクチン後遺症の診断を行う医療機関は、日本国内において極めて限られている。私は、自身の症状を理解するために、査読を経た科学論文を自ら収集し、これを主治医に提出した(甲第五十二号証)。これは、私が情報技術者として、自身の専門技能を用いて行った調査である。

私は、論文を主治医に提出する際、複数の人工知能(Claude、Grok、Genspark、Gemini)を用いて論文の信頼性を独立に検証した上で、主治医に持参した。これは、私一人の判断ではなく、複数の独立した検証経路を経た上で、主治医に判断材料を提供するためである。

令和七年八月九日、ワクチン後遺症の診断を受けた際、主治医は私に対して、「あなたのように勉強している人は少ない」と述べた。

五 労災症状固定判断の診断書をめぐる経緯

令和七年四月二十二日、私は、とよあきクリニックに対し、労災受給開始一年六か月経過時の診断書を依頼した。私は、自身の症状を医学的に評価するため、六項目の検査を希望した。しかし、これらの検査は保険適用外であることを理由に、実施されなかった。

令和七年五月七日、私は、とよあきクリニックの診断書を確認した。当該診断書には、検査が未実施であるにもかかわらず、私の症状について「快方に向かっている」との記載があった(甲第七十九号証)。これは事実と異なる内容の診断書であった。

令和七年五月十九日、私は、盛岡労働基準監督署に対し、本件診断書の問題について報告し、提出期限の一か月延長を申し出た。

令和七年五月二十一日、私は、とよあきクリニックの主治医に対し、診断書の書き直しを求め、検査の実施を求めた。しかし、医師はこれを拒否した。

令和七年五月二十六日、私は、青森県医療安全支援センター及び青森市医療安全支援センターに対し、診察拒否、検査拒否、及び事実と異なる内容の診断書発出について、通報を行った(甲第四十九号証、甲第五十号証)。いずれの医療安全支援センターからも、実質的な対応はなかった。

六 他の医療機関を求めて

事実と異なる内容の診断書が発出された状況において、私は、他の医療機関を探さざるを得なかった。

令和七年五月十五日、私は、私が令和四年六月二十九日に接種を受けたおきつ内科に対し、診断書の作成を依頼した。しかし、おきつ内科は、これを断った。その理由として、「青森市では、同じ症状で二つの病院に通院することはできない」との説明があった。

これにより、私は、青森市内の医療機関の間において、患者の通院情報が共有されており、患者が複数の医療機関で同時に診療を受けることが事実上制限されている実態を知るに至った。これは、患者が一つの医療機関での対応に納得できない場合に、他の医療機関の意見を求めることを困難にする構造である。

その後、私は、芙蓉会のA先生の紹介により、村上病院皮膚科のB医師の診察を受けることとなった(令和七年五月十六日)。B医師は、私の足趾の症状について霜焼けの診断を行うとともに、皮膚生検を依頼するため、青森県立中央病院皮膚科のC部長を紹介した。C部長の指示により、青森県立中央病院皮膚科ではD医師が私の担当となった。

令和七年五月三十日、村上病院神経内科のE先生の診察を受け、青森県立中央病院における精密検査の方針が決定した。

令和七年六月五日、青森県立中央病院皮膚科においてD医師の初診を受けた。その際、青森県立中央病院においてコロナ後遺症外来が既に終了している事実が判明した。これは、青森県内の中核病院においてもコロナ後遺症の専門的な対応が縮小していることを示している。

七 青森県立中央病院での精密検査

令和七年六月二十六日、青森県立中央病院自律神経内科の診察を受けた。

令和七年七月十日、心臓のSPECT及びダットスキャン静注(核医学検査)を受けた。

令和七年七月二十四日、脳のSPECT及びダットスキャン静注(核医学検査)を受けた。

令和七年八月一日、村上病院神経内科のE先生の診察において、検査結果に基づき、心臓異常、発汗障害、自律神経障害の診断を受けた。

これらの検査は、いずれも自由診療ではなく、保険診療として実施されたものであり、青森県立中央病院という公的医療機関において実施された客観的な医学的検査である。

八 現在の状況

令和七年八月九日のワクチン後遺症診断(甲第五十三号証)の後、私の症状は現在も継続している。今話している最中も両足、特につま先が焼けるように痛い。

私は現在、複数のサプリメントを自費で購入し、症状の緩和を図りながら生活を送っている。これらサプリメントは、根治を目的とするものではない。日本国内において、ワクチン後遺症の根治療法は確立されていない。

私は、症状とともに生きている。

このような状況の中で、私は、青森市が令和六年度に新型コロナワクチン接種事業のために本来「ワクチン生産体制整備及び供給確保」を目的とする基金を流用していた事実を知るに至った。その経緯について、第四章で述べる。

目次
  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

第四章 青森市への働きかけと無応答

この章を聴く(録音)

一 原告の調査と直接申し入れ

私は、就労不能の状態の中で、新型コロナワクチン接種後の健康被害に関する情報を、自ら収集してきた。

私は、情報技術者としての経験を有しており、複数の人工知能(Claude、Grok、Genspark、Gemini)を独立に用いて情報を検証する手段を持っていた。また、私は、ワクチン後遺症被害者の情報共有プラットフォームに貢献していた経緯から、被害者の実態についても一定の知見を有していた。

これらの背景の中で、私は、青森市に対して、ワクチン健康被害の実態の確認、健康被害情報の公開、及び基金流用問題の確認を、繰り返し求めた。

しかし、青森市からは、そのいずれの経路においても、実質的な応答が得られなかった。以下、その経緯を述べる。

二 青森市への一連の働きかけ

1 県内二十四保健所へのFAX送信

令和六年一月八日、私は、青森県内の二十四か所の全保健所に対し、ワクチン問題研究会による「ワクチン承認審査等にかかる法制度上の欠陥の是正を求める記者会見」に関する情報を含むFAXを送信した(甲第五十一号証)。いずれの保健所からも、応答はなかった。

2 感染症対策課への申し入れ及び健康被害情報公開請求

令和六年一二月十九日、私は、新型コロナワクチン健康被害救済制度に関する行政文書の開示を求める情報開示請求を提出した。(甲第三十九号証)

令和七年一月七日、私は、青森市役所本庁舎を訪問し、感染症対策課職員二名から予防接種健康被害救済制度に関する行政文書の開示を受けた(甲第四十号証)。

同日、私は、感染症対策課職員二名に対し、自分のワクチン健康被害や健康被害が多く発生している事について「部長に伝えてください」と申し入れた。

3 九九%黒塗り開示

令和七年一月七日、青森市は、上記情報公開請求に対し、十一人分の開示文書を九九%黒塗りにして提供した(甲第四十一号証)。

開示された文書は十一人分のみであった。私は、この件数の異常な少なさと、ほぼ全面の黒塗りという対応に、強い疑問を持った。

4 異議申し立てと面談

令和七年一月七日、私は、青森市担当者と面談し、九九%黒塗り開示について異議を申し立てた。

その後の面談や電話において、青森市担当者からは「再請求せよ」との回答があった。私は、自身の体調と、十一人という異常に少ない件数を踏まえ、再請求は実質的な解決をもたらさないと判断し、再請求は行わなかった。

5 医療安全支援センターへの通報

令和七年五月二十六日、私は、第三章五で述べた事実と異なる内容の診断書発出、診察拒否、検査拒否について、青森県医療安全支援センター及び青森市医療安全支援センターに対し、通報を行った(甲第四十九号証、甲第五十号証)。

両センターからは、いずれも実質的な対応がなかった。

医療安全支援センターは、患者と医療機関との間で生じた医療上の問題について、中立的な立場から相談を受け、解決に向けた支援を行う機関であるとされている。しかし、私の経験においては、両センターは、医療機関の側に立ったとは言えないにせよ、患者である私の側に立つこともなく、結果として何らの実質的な対応も行わなかった。「中立」を標榜することと、現実に被害を受けている市民を救済することとは、別の問題である。

三 千葉康伸保健部長答弁との不均衡

令和六年第二回定例会予算特別委員会(令和六年六月十八日・十九日)において、千葉康伸保健部長は、コロナ後遺症に係る青森市の把握件数について、二十三件(うち五類移行後一件)と答弁した(甲第七十八号証)。

すなわち、青森市は、コロナ後遺症については、件数を把握し、議会の場において公式に開示する対応を取っている。

一方、ワクチン接種後の健康被害については、私が令和六年十二月十九日に情報公開請求を行ったところ(甲第三十九号証)、青森市は令和七年一月七日、十一人分の開示文書を九九%黒塗りにして提供した(甲第四十一号証)。ワクチン接種後の健康被害については、件数も内容も実質的に明らかにしない対応である。

同じ青森市の対応であるにもかかわらず、コロナ後遺症については議会で件数を答弁し、ワクチン接種後の健康被害については九九%黒塗りで開示する。両者の取り扱いには、明らかな不均衡が存在する。

四 基金流用の発見

1 情報公開請求

令和七年二月二十六日、私は、「ワクチン生産体制等緊急整備基金」に関する行政文書の開示を求める情報公開請求を行った(甲第四十二号証)。

2 二月二十七日の電話

令和七年二月二十七日午後二時二十二分、青森市感染症対策課から私に電話があった。

担当者は、私が開示請求した「ワクチン生産体制等緊急整備基金」という名称ではなく、「新型コロナワクチン接種助成金」として令和六年度補正予算案(六月補正)四ページに計上している、と説明した。

私がこれを確認したところ、当該助成金は、本来「ワクチン生産体制等緊急整備基金」を原資とするものでありながら、青森市の予算書においては「新型コロナワクチン接種助成金」という名称で計上され、かつ「諸収入・雑入」として処理されていた。本来「国庫支出金」として計上されるべきものが、「諸収入・雑入」として処理されている事実を、私はこの電話により知るに至った。

青森市自らが「その基金名ではなく」と説明したことは、基金の正式名称とは異なる名称で予算計上を行っている事実を、青森市自身が認めたものに他ならない。

3 国会答弁との並行

令和七年二月二十八日、すなわち上記電話の翌日、第二百十七回国会衆議院財務金融委員会(第六号)において、川内博史議員及び原口一博議員が、本件基金流用問題を国会で追及した(甲第三十一号証)。

私の調査と、国会における追及は、互いに連絡したものではない。私は、令和七年二月二十六日に独立に情報公開請求を行い、二月二十七日に青森市感染症対策課から流用の事実を確認する電話を受け、二月二十八日に国会で同問題が追及された。

すなわち、私が市民として独立に行った情報公開請求と、国会議員が独立に行った国会追及とが、並行して同問題に到達したのである。これは、本件基金流用問題が、地方自治体レベルでも国政レベルでも、それぞれ独立の経路において問題として認識されるに至った客観的事実である。

五 住民監査請求の十六日却下

令和七年十月十五日、私は、青森市監査委員に対し、地方自治法第二百四十二条第一項に基づき、住民監査請求を行った(甲第三十七号証)。

令和七年十月三十一日、青森市監査委員は、わずか十六日で「要件に該当しない」として、本件監査請求を却下した(甲第三十八号証、青市監第六十九号)。

地方自治法が定める監査期間は六十日以内(延長九十日)である。私が事実認定書、証拠目録、法令違反対照表を含む詳細な資料を添えて行った監査請求が、わずか十六日で「要件に該当しない」として却下されたことは、実質的な審査が行われなかったことを意味する。

六 すべての経路で応答がなかった

私は、以上のとおり、

・県内二十四保健所へのFAX送信

>

・感染症対策課への直接申し入れ

>

・健康被害救済制度に関する情報公開請求

>

・九九%黒塗り開示への異議申し立て及び面談

>

・医療安全支援センターへの通報

>

・基金流用に関する情報公開請求

>

・住民監査請求

という、市民として行使可能な複数の経路を通じて、青森市に対して働きかけを行ってきた。

しかし、いずれの経路においても、実質的な応答は得られなかった。

このような状況において、私は、本訴訟を提起するに至った。本訴訟は、市民として行使可能な経路をほぼすべて尽くした後の、最後に残された手段である。

目次
  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論

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一 基金流用の事実関係

青森市は、令和六年度において、ワクチン生産体制等緊急整備基金から助成金として国の交付決定を受け(その実態については後述する)、これを「新型コロナワクチン接種助成金」として令和六年六月補正予算に計上した。

その内訳は、以下のとおりである。

第一に、令和六年六月補正予算において、歳入として「諸収入・新型コロナワクチン接種助成金 四〇九,七七九千円」が計上された(甲第一号証ないし甲第四号証)。

第二に、当該歳入は、本来「国庫支出金」として計上されるべきところ、「諸収入・雑入」として計上された(甲第十一号証、甲第十二号証)。

第三に、令和七年三月時点の最終予算書において、「ワクチン」「コロナ」等の文言は完全に消失しており、四〇九,七七九千円がどの款項目に仕分けされたか追跡不可能となっている(甲第三十五号証、甲第三十六号証)。

第四に、決算附属書では、「新型コロナ定期接種ワクチン確保事業に対する助成金 一五九,七〇〇,三〇〇円」のみが計上され、令和六年六月補正予算で承認された四〇九,七七九千円との差額二五〇,〇七九,〇〇〇円(約二・五億円)の行方は、決算書において説明されていない。

第五に、事業実績報告書(甲第六十一号証)によれば、「返還額 〇円」とされており、差額が国に返還された形跡もない。

第六に、私は令和七年十一月十二日、青森市に対し、「国(厚生労働省)からの補助金交付決定通知書」の開示を請求した(甲第六十三号証)。これに対し、青森市は当該通知書を開示することができず、令和七年十二月二十六日、不存在通知書を発出した(甲第七十二号証)。同通知書には、「厚生労働省に確認したところ、『振込額決定通知書』が類似の役割を果たしており、既に開示している文書を示しているとの回答があった」と記載されている。

すなわち、四億円超の国庫補助金の交付について、正式な「補助金交付決定通知書」は存在せず、厚生労働省自身が「振込額決定通知書」という事務連絡が「類似の役割」に過ぎないことを認めたものである。

第七に、厚生労働省による基金の公募である以上、応募の条件が定められているはずであり、当該条件を満たしていることを証明する委託等契約書もしくはこれに準ずる書面が存在するはずである。しかし、青森市は当該書面を開示できていない。補助金交付決定通知書のみならず、応募条件への適合を証明する書面についても、四億円超の公金支出の根拠として、その存在が確認できない状態にある。

二 答弁書の「国の指示通り」論

青森市は、令和八年四月十日付の答弁書において、上記事実関係について、概ね以下のとおり主張している。

第一に、四〇九,七七九千円は単なる見込額であり、実際に交付されたのは一五九,七〇〇,三〇〇円であるから、「二・五億円が消えた」という事実は存在しない。

第二に、「諸収入・雑入」として計上したのは、厚生労働省からの令和六年五月二十日付メール(乙第七号証)において、「雑収入」あるいは「新型コロナ定期接種ワクチン確保事業に対する助成金」等、各自治体において適切に予算科目を設定してよい旨の連絡があったことに基づくものであり、「国の指示通り」である。

第三に、補助金交付決定通知書の不存在については、住民訴訟の対象である「公金の支出」「財産の取得・管理・処分」「契約の締結・履行」「債務その他の義務の負担」「公金の賦課・徴収・財産の管理を怠る事実」のいずれにも該当せず、本件訴訟の対象外である。

要するに、青森市の防御の構造は、「事実は存在しない」「国の指示通りであるから違法ではあり得ない」「住民訴訟の対象外である」という三層からなる。

三 答弁書自身が示す論理矛盾 ─ 三千円裁量 vs 国の指示通り

しかし、青森市の答弁書は、それ自身の中に重大な論理矛盾を含んでいる。

答弁書第三、二項(二)イ(イ)(答弁書十頁)において、青森市は、自己負担三千円の設定について、以下のとおり主張している。

「これは、被告青森市が自治体としての裁量内で、新型コロナウイルスワクチン接種事業を適切に推し進めたものである」

すなわち、青森市は、自己負担額の設定については「自治体としての裁量内」で「適切に推し進めた」と主張している。

一方、お金の使い方(基金からの受領、雑入計上、事業名変更、補助金交付決定通知書の不存在)については、すべて「国の指示通り」であるから違法ではあり得ない、と主張している。

同じ新型コロナワクチン接種事業について、自己負担額の設定は「自治体の裁量」、お金の使い方は「国の指示通り」と、青森市の答弁書は主張している。

これは論理的に成立しない。同一の事業の同一の判断について、有利な部分は「裁量」と主張し、不利な部分は「指示通り」と主張することは、論理の使い分けに他ならない。

仮に本件事業の運用がすべて「国の指示通り」であるならば、自己負担三千円の設定も国の指示によるものであるべきである。しかし、答弁書は、これを「自治体の裁量」であると認めている。

それであれば、お金の使い方についても、「国の指示」を超えた青森市自身の判断が含まれていたはずであり、その判断について青森市自身の責任が生じる。

ここで、より根本的な問題を指摘しなければならない。

そもそも、青森市が本訴訟において「国の指示通り」を防御の根拠とすること自体が、地方自治法の本旨に反する官治団体としての姿勢である。

地方自治法第一条の二第一項は、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うもの」と定めている。すなわち、地方自治体は、国の機関ではなく、住民の福祉の増進を自主的かつ総合的に判断・実施する団体である。

青森市が「国の指示通り」を全面的な防御として用いることは、青森市が自主的判断の主体であることを自ら否定し、国の単なる執行機関であるかのように位置付けることに他ならない。これは、戦後日本の地方自治制度が確立してきた地方自治の本旨に反する官治団体としての反論であり、地方公共団体の本来あるべき姿勢ではない。

加えて、青森市議会における答弁との関係でも、「国の指示通り」論には矛盾が存在する。

千葉康伸保健部長は、令和六年第二回定例会予算特別委員会において、「国からの助成金八,三〇〇円」と明言した(甲第四十四号証)。同部長は、議会の場において、本件助成金が「国からの助成金」として八,三〇〇円が措置されている事実を、明確に認識した上で答弁している。

すなわち、青森市自身が、保健部長の議会答弁を通じて、本件助成金が国からの正規の助成金であるとの認識を、市民及び議会に対して公式に表明していたのである。

それにもかかわらず、青森市の答弁書は、本件助成金の取扱いについて「国の指示通り」と主張している。これは、議会答弁と本訴訟答弁との間に、根本的な矛盾を含むものである。

仮に保健部長が議会で答弁したとおり、本件助成金が「国からの助成金」であるならば、その受領は「諸収入・雑入」ではなく「国庫支出金」として計上されるべきであった。それを「諸収入・雑入」として計上した行為について、後になって「国の指示通り」と主張することは、議会答弁との整合性を欠く。

この論理矛盾は、青森市の答弁書を貫いている根本的な弱点である。

四 全国の状況

私が、ネット上に公開されている全国の地方自治体の歳入歳出資料を対象に、新型コロナワクチン定期接種事業に係る国からの助成金(一接種あたり八千三百円)の計上が明記されているものを調査したところ、確認できた自治体は約四十八に限られた。これは私個人による調査であり、公開されていない自治体や検索に至らなかった自治体が存在することから、実数はこれより多い可能性がある。しかし、いずれにしても、全国千七百を超える地方自治体のうち、本件助成事業に応募した自治体はごく一部にとどまるものと推認される。

この事実は、本件事業への応募が必ずしも全国一律のものではなく、各自治体の判断に委ねられた裁量の領域があったことを示している。

仮に本件事業がすべて「国の指示通り」に行われるべきものであるならば、応募しない自治体が多数存在したという事実は説明できない。各自治体には、応募するか否か、どのように応募するか、住民負担をどう設定するか等、複数の判断の余地があったのである。

青森市は、その判断の余地の中で、本件基金からの受領を選択し、自己負担三千円を設定し、雑入として計上し、事業名を変更し、補助金交付決定通知書を取得しないまま事業を進めた。これらは、青森市自身の判断による行為である。

五 原告の立場

私は、青森市に対し、以下を主張する。

第一に、四〇九,七七九千円と一五九,七〇〇,三〇〇円との差額約二・五億円について、青森市は議会及び市民に対して説明責任を果たしていない。

第二に、当該助成金を「諸収入・雑入」として計上したことは、地方自治法第二百十六条(予算明確性原則)に違反する財務会計上の違法行為である。

第三に、補助金交付決定通知書が存在しないにもかかわらず四億円超の国庫補助金を受領し、これを支出したことは、財務会計上の手続きの瑕疵である。

第四に、これらの行為について、青森市が「国の指示通り」と主張することと、自己負担三千円について「自治体の裁量」と主張することは、論理的に両立しない。

これらの違法行為について、青森市が自ら認めることを、私は本訴訟を通じて求めている。

目次
  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義

この章を聴く(録音)

一 感発〇五一六第一五二号

青森市が「国の指示通り」と主張する根拠の中核に、令和六年五月十六日付の厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長名による通知「感発〇五一六第一五二号」がある(甲第六十六号証)。

当該通知の「実施要領」には、以下の記載がある。

「支払決定及び助成金の支払は、ワクチン生産体制等緊急整備基金の基金管理団体が実施主体として行う。」

これは、「ワクチン生産体制整備」を目的とする基金を「接種事業」の助成金として用いることを、厚生労働省が公式に指示した文書とされている。

しかし、当該文書「感発〇五一六第一五二号」自体について、その真正性に重大な疑義が存在する。

二 厚生労働省自身による「第一号の不存在」公式認定及び「第一五〇号」の欠番

私は、令和七年十二月十日、厚生労働省に対し、令和六年五月十六日付け感発〇五一六第一号から感発〇五一六第一五一号までの通知の全文の開示を請求した。理由は、令和六年五月十六日付け感発〇五一六第一五二号が存在することを確認済みであるため、同日付で発出された第一号から第一五一号までの通知も当然存在するものと考えたからである。

これに対し、厚生労働省は、令和八年一月九日付の開示決定通知書(厚生労働省発感〇一〇九第五号)において、感発〇五一六第一号について、「事務処理上作成又は取得した事実はなく、実際に保有していないため、法第九条第二項の規定により、不開示とした」と通知した(甲第七十四号証)。

すなわち、厚生労働省自身が、令和六年五月十六日付け感発〇五一六第一号が存在しないことを、公式に認定したのである。

加えて、厚生労働省の開示決定通知書において、感発〇五一六第一五〇号は、開示対象としても、不開示対象としても、一切記載されていない。これは、当該番号が欠番である可能性を示唆する。

文書番号の通常の運用において、第一五二号が存在するならば、それに先立つ第一号もまた存在するはずである。一方、第一号は厚生労働省自身によって「実際に保有していない」ものとして公式に認定されている。また、第一五〇号は欠番である。これらの事実は、「感発〇五一六第一五二号」という番号自体が、通常の文書番号運用の中で発生したものではないことを示唆する。

なお、第二号から第百四十九号まで及び第百五十一号は、開示決定がなされたものの、私が本陳述書を作成する時点においては、その本文の交付を受けておらず、その内容については、現時点で確認することができていない状態にある。

三 一日に一五二件の部長通知発出という物理的不可能性

仮に令和六年五月十六日の一日において、感染症対策部長から第一号から第一五二号までの通知が発出されたとするならば、これは一日(八時間労働として四八〇分)に一五二件の通知を発出することを意味する。一件あたりの処理時間は、約二・九八分である。

通知の起案、決裁、発出には、それぞれ数十分から数時間の処理を要するのが行政実務の通常である。一件あたり約三分という処理時間は、行政実務上、明らかに不可能である。

この物理的不可能性は、第一号が存在しないという厚生労働省自身の認定(甲第七十四号証)と整合する。すなわち、「第一号から第一五二号まで一日に発出された」のではなく、「第一五二号が、別の経路で作成された」と考えるのが、合理的な推論である。

四 デジタルフォレンジック分析による異常の検出

私が入手した感発〇五一六第一五二号の電子ファイル(PDF)について、私はデジタルフォレンジック分析を実施した(甲第七十号証)。その結果、以下の異常が検出された。

第一に、フォントの不整合である。文書番号「0516第152号」のみが半角数字で記載され、本文中の日付や金額等は全角数字で統一されている。これは、文書番号部分が本文とは別の工程で入力された可能性を示唆する。

第二に、作成者情報の矛盾である。PDFメタデータに記録された作成者は「田中義嗣」であり、当時の感染症対策部長(佐々木昌弘氏)ではない。部長名義の通知の作成者メタデータが、部長以外の人物名となっている。

第三に、作成時刻の不自然さである。作成日時は午後八時二十一分であり、通常の執務時間外である。

第四に、技術的な異常である。ToUnicodeマップが欠落しており、テキストコピー時に文字化けが発生する。これは、正規の公文書作成プロセスを経た文書としては異例の状態である。

これらの技術的異常は、当該文書が正規の公文書作成プロセスを経ていない可能性を強く示唆するものである。

五 「国の指示」の根拠の崩壊

以上の事実を総合すると、青森市が「国の指示通り」と主張する際の根拠の中核にある感発〇五一六第一五二号自体に、以下の三つの重大な疑義が存在する。

第一に、厚生労働省自身が、同日付の第一号の不存在を公式に認めており、第一五〇号は欠番である(甲第七十四号証)。

第二に、一日に一五二件の通知発出は物理的に不可能である。

第三に、デジタルフォレンジック分析により、フォント不整合、作成者情報の矛盾、作成時刻の不自然さ、技術的隠蔽工作の痕跡が検出されている(甲第七十号証)。

これら三つの疑義は、それぞれ独立に存在するものではなく、互いに整合する。すなわち、「感発〇五一六第一五二号」は、令和六年五月十六日に第一号から第一五一号までと連続して発出された通常の部長通知ではなく、別の経路で作成された可能性が高い。

仮にこの推論が正しいとするならば、青森市が「国の指示通り」と主張する際の根拠そのものが、その真正性において重大な疑義を含むことになる。

すなわち、青森市の「国の指示通り」論は、その根拠となる文書自体の真正性において、既に崩壊しているのである。

なお、私はこれらの疑義の解明のため、厚生労働省に対し、令和六年五月十六日付け感発〇五一六第一号から第一五一号までの通知の全文の開示を求めるなど、複数の関連文書の開示請求を行ってきた。これらの開示請求の一部については、本陳述書作成時点において、いまだ電子データによる開示文書の交付を受けるに至っていない(甲第七十三号証)。

目次
  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆

この章を聴く(録音)

一 令和六年六月補正予算と決算の差額

第五章で述べたとおり、令和六年六月補正予算において、新型コロナワクチン接種助成金として歳入四〇九,七七九千円が計上され、議会で承認された。

しかし、令和六年度決算において、実際に計上された助成金は一五九,七〇〇,三〇〇円であった。差額は二五〇,〇七九,〇〇〇円(約二・五億円)であり、その行方について、決算書において説明はなされていない。

二 決算特別委員会における質疑ゼロ

令和六年度決算は、令和七年第三回定例会決算特別委員会(令和七年九月十二日及び十六日)において審査された。

しかし、当該決算特別委員会において、新型コロナウイルスワクチン接種に係る質疑は、一切なかった。

約二・五億円の差額の不説明にもかかわらず、議会において質疑がなされなかった。

三 答弁書自身が認めた事実

驚くべきことに、青森市は、令和八年四月十日付答弁書第三、十項(二)(答弁書七頁)において、以下のとおり明記している。

「新型コロナワクチン接種を含む令和六年度の決算を審査した令和七年第三回定例会決算特別委員会(令和七年九月十二日、十六日)では、新型コロナウイルスワクチン接種に係る質疑はなかった(乙第十三号証)」

すなわち、青森市自身が、答弁書において、令和六年度決算審査の場である決算特別委員会において、新型コロナワクチン接種に関する質疑が一切なかったという事実を、公式に認めているのである。

これは、青森市自身による議会監視機能不全の自認に他ならない。

四 ワクチン関連請願・陳情の異常な不在

私は、令和元年四月一日から令和五年三月三十一日までの間に青森市議会に提出されたワクチン関連の請願・陳情について、情報公開請求を行った(甲第五十八号証)。

その回答は、「該当する事案はない」という不存在通知であった。

一方、同期間の請願・陳情目次(甲第五十九号証)によれば、四年間で請願四十二件・陳情四十件(計八十二件)が提出されているにもかかわらず、ワクチン関連は一件も存在しない。

全国的に新型コロナワクチンに関する健康被害が社会問題となっている中で、四年間で計八十二件の請願・陳情が提出されながら、ワクチン関連が一件も存在しないという事実は、極めて異常である。

これは、市民が声を上げていないのではなく、市民が声を上げても請願・陳情として議会に到達しない構造が存在することを示唆している。

五 数少ない請願も否決

令和六年に至り、ようやく、ワクチン関連の請願・陳情が議会に提出される事例が現れた。

令和六年第一回定例会において、健康被害救済制度に関する請願(専門相談窓口の創設及び申請費用の補助を求めるもの)が提出された。しかし、これは賛成少数で不採択とされた(甲第五十六号証、令和六年三月二十五日)。

また、新型コロナワクチン接種後に体調不良に苦しむ高校生の家族から提出された、市民の接種後副反応への理解増進につながる措置を求める請願も、議会において否決された(甲第四十六号証)。

すなわち、四年間で請願・陳情に到達しなかった声が、令和六年に至りようやく議会に届いた数少ない事例においても、議会は否決によりこれを退けている。

六 議会経路の事実上の遮断

以上の事実を総合すると、青森市議会において、新型コロナワクチンに関する市民の声は、以下の二重の遮断構造によって、事実上行政監視に到達していない。

第一に、令和元年から令和五年までの四年間においては、計八十二件の請願・陳情が提出されながら、ワクチン関連は一件も到達しなかった(甲第五十八号証、甲第五十九号証)。

第二に、令和六年に至りようやく到達した数少ない請願も、議会において否決された(甲第四十六号証、甲第五十六号証)。

そして、令和六年度決算という、本件基金流用について議会が公式に審査すべき場においても、新型コロナワクチン接種に関する質疑は一切なかった。これは、青森市自身が答弁書において公式に認めている事実である。

議会の監視機能は、本件基金流用問題に関しては、事実上機能していなかったのである。

私が本訴訟を提起したのは、市民として行使可能な経路(情報公開請求、面談、医療安全支援センターへの通報、住民監査請求)の応答が得られなかったためであるとともに、議会経路もまた事実上機能していなかったためである。

これらの経路がすべて応答していたならば、本訴訟は不要であった。

目次
  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実

この章を聴く(録音)

一 予備的請求の対象(訴状記載)

本訴訟の予備的請求は、訴状記載のとおり、以下の二点である。

第一に、令和六年度におけるワクチン生産体制等緊急整備基金四〇九,七七九千円の新型コロナワクチン接種事業への流用が、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第五条に違反することの確認。

第二に、令和六年度決算における当該国庫補助金の「諸収入・雑入」としての計上が、地方自治法第二百十六条に違反することの確認。

これらは、いずれも青森市が令和六年度において行った財務会計上の取扱いの違法性を、司法によって直接確認することを求めるものである。

二 本章の位置付け

訴状第三「被告の違法行為」第六項において、原告は青森市の組織的情報隠蔽を、被告の違法行為の一つとして陳述した。具体的には、青森市が、ワクチン接種後の健康被害に関する情報公開請求に対し、名古屋地裁(令和五年六月十五日)及び名古屋高裁(令和五年十一月三十日)の司法判断を無視し、十一人分の開示文書を九九%黒塗りにして提供した事実である(甲第三十九号証ないし甲第四十三号証、甲第四十七号証)。

本章においては、訴状提出後に発見・収集した証拠(甲第七十四号証ないし甲第九十三号証)に基づき、青森市の組織的隠蔽が、健康被害情報の九九%黒塗りにとどまらず、本件基金流用に関連する一連の文書において広範に確認される事実を陳述する。

これは、予備的請求の対象である基金流用及び雑入計上が、単独の財務会計上の違法行為ではなく、組織的隠蔽を伴う一連の行為であることを示すものであり、予備的請求の違法性確認を補強する位置付けである。

三 基金流用に伴う組織的隠蔽の構造

1 ワクチン健康被害情報の九九%黒塗り(既述事実の確認)

青森市は、令和七年一月七日、原告の予防接種健康被害救済制度に関する情報公開請求に対し、十一人分の開示文書を九九%黒塗りにして提供した(甲第四十一号証)。これは、名古屋地方裁判所(令和五年六月十五日)及び名古屋高等裁判所(令和五年十一月三十日)の判決基準(甲第四十七号証)に照らして、明白に違法な対応である。

2 コロナ後遺症は議会で公開、ワクチン副反応は黒塗り

青森市は、コロナ後遺症については、件数を把握し、議会の場において公式に開示している。

令和六年第二回定例会予算特別委員会(令和六年六月十八日・十九日)において、千葉康伸保健部長は、コロナ後遺症に係る青森市の把握件数について、二十三件(うち五類移行後一件)と答弁した(甲第七十八号証)。

すなわち、青森市は、令和六年六月の時点において、ワクチン接種後に健康被害を訴えた市民が二十三件(五類移行後一件)存在することを公式に把握しており、議会の場でこれを答弁する対応を取ったのである。

一方、ワクチン接種後の健康被害に関する情報公開請求については、青森市は十一人分の開示文書を九九%黒塗りにして提供した(甲第四十一号証)。件数も内容も実質的に明らかにしない対応である。

ここに、明白な不均衡が存在する。

なぜ青森市は、コロナ後遺症については議会で件数を公表したにもかかわらず、ワクチン接種後の健康被害については九九%黒塗りで隠蔽したのか。同じ青森市の対応として、両者の取り扱いが大きく異なる合理的な理由が、答弁書においても、議会答弁においても、示されていない。

3 委託料請求一覧表九十一件・約二・三億円の全面黒塗り

青森市は、本件基金流用に関連する委託料請求一覧表についても、組織的隠蔽を行っている。

私が情報公開請求により取得した委託料請求一覧表(甲第七十七号証)には、新型コロナワクチン接種事業に係る九十一件の医療機関名・接種人数・配分額が、全面的に黒塗りにされている。三か月合計で約二億三千四百七十一万円の公金の配分が、市民による検証が事実上不可能な状態に置かれているのである。

接種事業を委託された医療機関の名称、各医療機関に対する配分額、接種人数。これらは、本来、市民が公金の使途を検証する上で不可欠な情報である。これを全面黒塗りで隠蔽することに、いかなる合理的根拠があるのか。

これは、本件基金流用の出口における組織的隠蔽である。

4 支出命令額と決算計上額の重大な乖離

加えて、甲第七十七号証の内容を精査することにより、本件基金流用の財務会計上、看過し難い重大な事実が判明した。

甲第七十七号証によれば、青森市から青森市医師会に対する新型コロナワクチン接種事業の委託料として、以下の支出命令が行われている。

令和六年十月分 一億一千八百二十四万二千九百円(支払予定日:令和六年十二月十六日)

令和六年十一月分 六千二百八十九万六千八百円(支払予定日:令和七年一月十四日)

令和六年十二月分 五千三百五十七万九千四百円(支払予定日:令和七年二月十三日)

三か月合計 二億三千四百七十一万九千百円

これは、令和六年度(令和六年四月一日から令和七年三月三十一日まで)の決算期間内における、わずか三か月分の支出命令額の合計である。

しかしながら、令和六年度決算における新型コロナワクチン接種事業に係る雑入計上額(甲第六十一号証、甲第十一号証)は、一億五千九百七十万三百円である。

すなわち、令和六年十月から十二月までのわずか三か月分の支出命令額の合計(約二億三千四百七十一万円)が、令和六年度全体の決算計上額(約一億五千九百七十万円)を、約七千五百万円も上回るという、財務会計上、極めて異常な事態が生じているのである。

支出命令の対象期間が令和六年度の決算期間内であることは、甲第七十七号証に明記された支払予定日(令和六年十二月十六日、令和七年一月十四日、令和七年二月十三日)から疑いの余地がない。

青森市は、本訴訟において、この乖離について何ら説明を行っていない。当該差額約七千五百万円が、何らかの会計処理上の事情により決算書に正しく反映されていないのか、別の予算科目から支出されたものであるのか、あるいは事業実績報告書(甲第六十一号証)の記載と実際の支出との間に乖離が存在するのか、いずれであっても、青森市は本訴訟において合理的な説明を行う責任を負う。

これは、訴状の予備的請求が問題としている「諸収入・雑入」としての計上の適正性、すなわち地方自治法第二百十六条(予算明確性原則)違反の主張に、決定的な疑義を加える事実である。

5 補助金交付決定通知書の不存在

私は、令和七年十一月十二日、青森市に対し、「国(厚生労働省)からの補助金交付決定通知書」の開示を請求した(甲第六十三号証)。

これに対し、青森市は当該通知書を開示することができず、令和七年十二月二十六日、不存在通知書を発出した(甲第七十二号証)。同通知書には、「厚生労働省に確認したところ、『振込額決定通知書』が類似の役割を果たしており、既に開示している文書を示しているとの回答があった」と記載されている。

すなわち、四億円超の国庫補助金の交付について、正式な「補助金交付決定通知書」は存在せず、厚生労働省自身が「振込額決定通知書」という事務連絡が「類似の役割」に過ぎないことを認めたものである。

四億円超の公金が、正規の補助金交付決定の手続きを経ずに流れたという事実は、それ自体が予備的請求の対象である基金流用の違法性を強く示すものである。

加えて、私が令和七年十二月十日に厚生労働省に開示請求した「感発〇五一六第一号」が「実際に保有していない」ものとして公式認定された事実(甲第七十四号証)と併せて検討すれば、本件基金流用の根拠となるべき公文書の体系全体に、重大な疑義が生じている。

6 保健部長と市長の発言の非対称

青森市の情報発信には、市民への説明という観点で、看過し難い非対称が存在する。

千葉康伸保健部長は、令和六年第二回定例会予算特別委員会において、「国からの助成金八,三〇〇円」と明言した(甲第四十四号証)。

しかし、同定例会本会議において、西秀記市長は「三、〇〇〇円で接種できる」と発言するにとどまり、国からの助成金の存在には一切触れなかった(甲第三十三号証)。

保健部長が議会の場で明確に説明した八,三〇〇円の助成金について、市長がなぜ言及を避けたのか。市民への情報提供において、なぜこのような非対称が生じたのか。これは、市民が本件基金流用の実態を把握することを困難にする情報非開示の構造である。

7 議会への請願・陳情の不存在という構造

私は、令和元年四月一日から令和五年三月三十一日までの間に青森市議会に提出されたワクチン関連の請願・陳情について、情報公開請求を行った(甲第五十八号証)。

その回答は、「該当する事案はない」という不存在通知であった。

一方、同期間の請願・陳情目次(甲第五十九号証)によれば、四年間で請願四十二件・陳情四十件(計八十二件)が提出されているにもかかわらず、ワクチン関連は一件も存在しない。全国的に新型コロナワクチンに関する健康被害が社会問題となっている中で、四年間で計八十二件の請願・陳情が提出されながら、ワクチン関連が一件も存在しないという事実は、極めて異常である。

被告青森市と他の地方自治体を比較すれば、その異常性はさらに明らかとなる。福島県喜多方市議会は、地方自治法第九十九条に基づくmRNAワクチン接種事業中止を求める意見書を可決し(甲第八十号証)、徳島県小松島市議会も同様の意見書を内閣総理大臣・厚生労働大臣に提出している(甲第八十二号証)。被告青森市と同じ青森県内である大間町議会についても、市民間に同様の動きが伝えられている(甲第八十一号証)。

他の地方議会において公的疑義が公式に表明されている中で、青森市議会のみがワクチン関連の請願・陳情を一件も受理していないという事実は、市民が声を上げても請願・陳情として議会に到達しない構造が存在することを示唆する。これもまた、本件基金流用に関連する青森市における情報の非対称構造の一部である。

四 核心の問いかけ

以上の事実を踏まえ、私は青森市に対し、以下の核心の問いかけを行う。これらの問いかけは、いずれも予備的請求の対象である基金流用及び雑入計上の違法性が、組織的隠蔽を伴う重大な違法行為であることを示すものである。

第一に、なぜ青森市は、九九%黒塗りで開示し、青森市民に対し健康被害の実態を隠そうとしたのか。

第二に、なぜ青森市は、市民でも取得できるはずの情報を、市民に対して発信しないのか。委託料請求一覧表九十一件・約二・三億円の配分が、なぜ全面黒塗りでなければならないのか。

第三に、なぜ青森市は、コロナ後遺症については議会で公表し、ワクチン接種後の健康被害については黒塗りで隠蔽したのか。同一の青森市の対応として、なぜこのような不均衡が許されるのか。

第四に、なぜ青森市は、国会において安全性に重大な疑義が公的に表明され(甲第三十一号証、甲第八十八号証、甲第八十九号証)、内閣総理大臣名義の答弁書において審議会での科学的審議の不在が公式に認められた中で(甲第八十九号証)、なお基金流用による接種事業を推進したのか。

第五に、なぜ青森市は、市長が三千円自己負担にのみ言及し、保健部長が議会で明言した八,三〇〇円の国助成金について、市長として市民に対する説明を行わなかったのか(甲第三十三号証、甲第四十四号証)。

第六に、なぜ青森市は、四億円超の国庫補助金の受領について、正規の「補助金交付決定通知書」が存在しないという財務会計上の重大な瑕疵を抱えながら、これを是正することなく事業を進めたのか(甲第七十二号証)。

第七に、なぜ青森市は、令和六年十月から十二月までのわずか三か月分の支出命令額が令和六年度全体の決算計上額を約七千五百万円も上回るという、財務会計上、極めて異常な事態について、合理的な説明を行わないのか(甲第七十七号証、甲第六十一号証)。

これらの問いかけに対し、青森市は、本訴訟において合理的な答弁を行うことができていない。被告答弁書(令和八年四月十日付)は、いずれの問いかけにも実質的に応答していない。

五 予備的請求の補強の意義

本章で陳述した事実は、訴状記載の予備的請求の対象──基金流用と雑入計上──が、単独の財務会計上の違法行為ではなく、組織的隠蔽を伴う一連の行為であることを示している。

すなわち、本件基金流用は、

入口において、根拠文書(感発〇五一六第一五二号)の真正性疑義を伴い(甲第七十号証、甲第七十四号証)、

経路において、補助金交付決定通知書の不存在という財務会計上の重大な瑕疵を伴い(甲第七十二号証)、

出口において、委託料請求一覧表九十一件・約二億三千四百七十一万円の全面黒塗りという組織的隠蔽を伴い(甲第七十七号証)、

会計処理において、令和六年十月から十二月までのわずか三か月分の支出命令額が令和六年度全体の決算計上額を約七千五百万円も上回るという、財務会計上の重大な乖離を伴い(甲第七十七号証、甲第六十一号証)、

事後において、ワクチン健康被害情報の九九%黒塗りという司法判断無視の対応を伴っている(甲第四十一号証、甲第四十七号証)。

これらは、予備的請求の対象である基金流用及び雑入計上が、補助金等適正化法第五条及び地方自治法第二百十六条の違反として確認されるべき性質の重大さを、強く補強するものである。

予備的請求が司法によって認容されることは、本件基金流用の違法性を、その隠蔽構造を含めて確定させることに直結する。これは、青森市民の救済への扉を開き、同時に全国の同種事案における先例として機能する。

私は、本訴訟の予備的請求が、青森市の隠蔽構造を含む基金流用全体の違法性に対する司法の判断として機能することを、強く求めるものである。

目次
  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること

この章を聴く(録音)
  1. 私が金銭を求めていない理由
  2. 救済を要する被害(全国の認定統計)
  3. 救済を要する被害(青森市内・他議会の動向)
  4. 接種証明書交付サービス終了の問題
  5. 私が青森市に求めること(要求と検査の必要性)
  6. 私が青森市に求めること(安全性審議の不在・周知)
  7. 青森市が真に市民のためにあるならば

一 私が金銭を求めていない理由

本訴訟の訴訟物の価額は金一円である。これは、私が金銭を求めていないことを意味する。請求額を金一円としたのは、本訴訟が公益訴訟であることを示すためである。

第三章で述べたとおり、私は令和四年六月二十九日の特例臨時接種により後遺症を負った一被害者である。しかし、私は令和六年度から始まった本件基金流用事業の直接対象者ではない。本件事業の対象は六十五歳以上の高齢者及び六十歳から六十四歳の基礎疾患を有する者であり、私は当時その対象に含まれなかった。

したがって、私が本訴訟により求めるのは、私自身に対する補償ではない。私が求めるのは、青森市民とりわけ高齢者を含む被害者の救済である。

二 救済を要する被害は現に存在する

被害者の救済を求める根拠として、以下の事実を陳述する。

第一に、新型コロナワクチンによる予防接種健康被害救済制度の認定状況についてである。臨床薬学博士上島有加里氏が厚生労働省公式データを分析した資料によれば、過去四十五年間における予防接種健康被害認定者数の比較として、新型コロナワクチンを除く予防接種健康被害救済制度の認定件数は、一九九五年から令和三年度までの二十七年間(総接種回数約八億回)で三千五百二十二件、うち死亡認定は百五十一件である。これに対し、新型コロナワクチンに係る認定件数は、令和三年二月十七日から令和六年四月一日までの約三年間(総接種回数約四億回)で八千三百二十八件、うち死亡一時金又は葬祭料に関する認定件数は八百八十一件に達している。すなわち、新型コロナワクチンの認定件数は、その接種期間が約三年間、接種回数が過去のおよそ二分の一であるにもかかわらず、過去四十五年間の全ワクチン合計を遥かに超えている。また、新型コロナワクチン接種後の副反応疑い報告は、令和六年一月二十八日報告分までで三万七千五十一件、うち重篤症例は八千九百八十八件、死亡報告は二千百九十三例に達している。さらに、当該死亡報告二千百九十三例のうち、約九十九%にあたる二千百八十例は「γ評価(ガンマ評価。情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないもの)」とされており、ワクチンと死亡との因果関係が事実上評価されないまま放置されている(甲第八十四号証)。これらはいずれも厚生労働省自身が公表しているデータに基づく事実である。

第二に、青森市内における健康被害の存在についてである。私が令和六年十二月十九日に提出した予防接種健康被害救済制度に関する情報公開請求に対し、青森市は令和七年一月七日、十一人分の開示文書を九九%黒塗りにして提供した(甲第四十一号証)。青森市内において、少なくとも十一人の市民が健康被害を訴えていたという事実は、この黒塗り文書から判明したものである。青森市はその詳細を一切明らかにしていない。

第三に、青森市内における若い世代の被害についてである。新型コロナワクチン接種後に体調不良に苦しむ高校生の家族が、市民の接種後副反応への理解増進につながる措置を求める請願を青森市議会に提出したが、議会はこれを否決した(甲第四十六号証)。

第四に、健康被害救済制度に関する令和六年第一回定例会の請願(専門相談窓口の創設及び申請費用の補助を求めるもの)も、賛成少数で不採択とされた(甲第五十六号証)。

第五に、他の地方議会における動向についてである。

令和七年十二月十一日、福島県喜多方市議会は、地方自治法第九十九条に基づき、衆参両院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣等を提出先とする「mRNAワクチン(レプリコンワクチンを含む)接種事業中止を求める意見書」を可決した(甲第八十号証)。同意見書は、コロナワクチン接種データ開示請求プロジェクトによる全国四十市区町村の観測データにおいて接種当日及び翌日の死亡者が二百九十四人確認されていること、最後の接種から約三か月から四か月後に死亡のピークがみられ接種後半年以上にわたって死亡率が上昇する傾向があること、mRNAワクチンが「標的細胞」が明確に示されないまま特例承認されたこと、スパイクタンパク質の長期検出やIgG4誘導等の免疫抑制が指摘されていること等を理由として挙げ、特に厚生労働省自身が令和六年八月八日付けで発出した「感発〇八〇八第五号・医薬発〇八〇八第一号」が接種後の長期にわたる健康影響に言及している事実をもって、「現時点におけるワクチンの安全性に関する検討は不十分である」と認定し、「mRNAワクチン(レプリコンワクチンを含む)の国民への接種を中止すること」を要望している。

令和八年二月十三日頃、青森県下北郡大間町議会において、mRNAワクチン(レプリコンワクチンを含む)接種事業の中止を求める陳情が、討論なし、委員会付託省略の全会一致のスピード採択により採択され、これが全国二例目であった旨を伝えるインフォグラフィック資料が、市民間に流通している(甲第八十一号証)。当該インフォグラフィック資料は、接種当日及び翌日の死亡者七百二十九人(全国百六十一市区町村の観測データ)、健康被害救済認定九千四百五十八件、死亡認定一千六十八件、接種三〜四か月後の死亡ピーク等を根拠として挙げ、内閣総理大臣及び厚生労働大臣に意見書が提出された旨を記載している。なお、原告は本陳述書作成時点において、大間町議会の公式公文書による直接的な裏付けまでは確認できていない。しかしながら、被告青森市と同じ青森県内の地方議会において、mRNAワクチン接種事業の中止を求める動きがあるとの情報が、市民間で公的な懸念として共有されている事実は、本陳述書において指摘するに値する。

令和八年三月十九日、徳島県小松島市議会は、議提第一号として、会議規則第十四条の規定により、地方自治法第九十九条に基づく「mRNAワクチン(レプリコンワクチンを含む)接種事業の中止を求める意見書」を、内閣総理大臣及び厚生労働大臣に提出した(甲第八十二号証)。提出者は同市議会議員七名である。同意見書は、令和七年十二月二十五日時点の全国四十市区町村四千二百万回接種後死亡観測データで接種当日及び翌日の死亡者が五百九十四人となっていること、累計認定数九千四百十二件は氷山の一角であること、スパイクタンパク質の長期検出を示す皮膚科学会論文(甲第八十二号証資料二)の存在等を根拠とし、科学的検証が十分に行われるまでの接種事業中止を要望している。

これらのうち、福島県喜多方市議会(甲第八十号証)及び徳島県小松島市議会(甲第八十二号証)の意見書は、いずれも地方自治法第九十九条という法定の手続を経て、内閣総理大臣及び厚生労働大臣に対して公式に提出された文書である。両意見書はそれぞれ、厚生労働省自身の感発〇八〇八第五号通知や全国市区町村の観測データ、皮膚科学会論文等、公的なデータ・公的文書に基づく意思表示である。加えて、被告青森市と同じ青森県内である大間町議会についても、市民間に同様の動きが伝えられている。

それにもかかわらず、被告青森市は令和六年度において、本来「ワクチン生産体制整備及び供給確保」を目的とする基金を、二・五億円を超える減額の不説明を伴って接種事業に流用し、mRNAワクチンの定期接種を推進した。これら他自治体における動きが報じられている時点においてもなお、被告青森市は、本訴訟においてその違法性を否認し続けている。

三 接種証明書交付サービス終了の問題

新型コロナワクチンの接種証明書の交付サービスは、令和六年三月三十一日をもって終了した(甲第八十六号証)。「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」及び「接種証明書コンビニ交付」のいずれも、同日をもってサービスを終了している。厚生労働省の当該ウェブページは、令和六年四月一日以降、更新されていない。

これは、単にデジタル化サービスが終了したというにとどまらず、接種証明書の交付サービス全体が事実上終了したことを意味する。これにより、将来、新たに健康被害を自覚した市民が予防接種健康被害救済制度の申請を行おうとする際、接種事実を公的に立証する手段が大きく狭められることとなった。被害は接種から数か月、数年を経て顕在化することがある。私自身、令和四年六月二十九日の接種から、ワクチン後遺症の診断を得るまでに三年以上を要した。

接種を推進した行政には、推進した期間と同じだけの期間、被害者が救済を申請するための立証手段を保全する責務がある。接種開始から数年で接種証明書の交付サービスを終了させることは、被害者救済の道を狭める方向への政策変更である。さらに、当該ページが令和六年四月一日以降更新されていないという事実は、厚生労働省がこの問題を継続的に管理する責任から事実上撤退していることを示すものである。

四 私が青森市に求めること

以上の事実を踏まえ、私が青森市に求めることは、以下の事項である。

① 令和六年度におけるワクチン生産体制等緊急整備基金の流用、会計科目偽装、予算書操作、補助金交付決定通知書の不存在等、一連の財務会計上の違法行為を、青森市自身が認めること。

② 予防接種健康被害救済制度に関する申請文書の九九%黒塗り開示を改め、他の被害者のために情報を公開すること。これは、名古屋地方裁判所(令和五年六月十五日)及び名古屋高等裁判所(令和五年十一月三十日)の二度の違法判決(甲第四十七号証)に従う措置に他ならない。

③ 二度と同様の不正が繰り返されないこと。

④ 新型コロナワクチン接種者のうち、体調不良を訴える市民及び悪性腫瘍の発症が認められた市民に対し、青森市医師会以外の中立的な医療機関を含む体制において、以下の検査を全件実施すること。

・血液検査による異常の確認

>

・免疫組織化学染色(IHC:Immunohistochemistry)によるスパイク蛋白の検出検査

>

・N蛋白(nucleocapsid protein)の検出検査

これらの検査の必要性は、現在の日本において、新型コロナワクチン接種後の健康被害に関する診断・検査・治療体制が、厚生労働省により全国的に整備されていない事実に対応する。私は、第三章で述べたとおり、自身のワクチン後遺症の診断のため、論文を自ら収集し、複数の医療機関を回り、保険適用外の検査を求めて拒否されるなどの経験を経た。新型コロナワクチン接種後遺症の診断基準は、厚生労働省として確立されておらず、IHC染色によるスパイクタンパク質検出検査及びN蛋白検出検査もまた、保険適用外である。

厚生労働省は、新型コロナワクチン接種事業については、各種通知に基づき自治体に対して指示を行ってきた。一方、ワクチン接種後の健康被害に対する検査・治療体制の整備については、厚生労働省として全国的な指示は行われていない。

このような状況において、青森市保健部・感染症対策課が、市民の健康を守るという本来の責務を果たすためには、厚生労働省の指示を待つのではなく、青森市自身の判断で、被害者の検査・救済体制を整備する必要がある。

なお、これらの検査の必要性については、原口一博元衆議院議員が、令和七年二月二十一日のX(旧ツイッター)への投稿において、自身の悪性リンパ腫の扁桃腺転移病変について免疫組織化学染色(IHC)による分析を行い、ワクチン由来のスパイク蛋白が接種後約二年経過してもがん細胞内にびまん性に検出され、N蛋白(nucleocapsid protein)は検出されなかった事実を、染色画像四枚を付して公表していることが、一般市民にも広く知られている事実である(甲第八十七号証)。

加えて、原口議員は、令和七年十一月二十八日衆議院外務委員会において、これと同趣旨の事実を国会で答弁しており、また、令和七年三月十三日には「スパイクタンパク質の毒性に関する質問主意書」(質問第一〇三号)を衆議院に正式に提出している(甲第八十八号証、甲第八十九号証)。

当該質問主意書に対し、内閣は令和七年三月二十五日、内閣総理大臣石破茂名義の正式な答弁書を発出した(甲第八十九号証)。当該答弁書は、米国ソーク研究所が令和三年四月に発表したスパイクタンパク質の細胞毒性に関する論文(Circulation Research誌)及び令和五年に公表されたスパイクタンパク質の毒性に関する総説論文(Biomedicines誌)について、「厚生労働省及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構において承知していない」「厚生労働大臣が任命した審議会委員が当該情報を承知していたのかについては、政府として把握していない」「審議会においては、当該情報そのものについては審議したことはない」と答弁した。

これは、政府が、日本国民への接種が推進されている新型コロナワクチンの抗原物質であるスパイクタンパク質の毒性に関する一流科学誌の論文を、厚生労働省・PMDA・審議会委員のいずれもが承知していないこと、審議会で議論したこともないことを、内閣総理大臣名義の答弁書において公式に認めた事実である。

青森市は、本訴訟において、令和六年度のワクチン生産体制等緊急整備基金からの助成金受領、雑入計上、事業名変更、補助金交付決定通知書の不存在等、財務会計上の処理について「国の指示通り」と主張している。当該「国」とは、厚生労働省である。

そして、青森市が令和六年度に推進した新型コロナワクチンの定期接種事業もまた、厚生労働省の各種通知に基づき実施されたものであることは、行政実務上明らかである。基金流用が厚生労働省の指示通りであるならば、定期接種事業もまた厚生労働省の指示通りに推進されたものと推察するほかない。

私は、国と地方自治体との間に存在する構造的な力関係の中で、地方自治体が国の指示に従わざるを得ない側面があることは、市民として理解している。

しかしながら、令和七年三月十三日、国会において、原口一博衆議院議員が、新型コロナワクチンの抗原物質であるスパイクタンパク質の毒性について、米国ソーク研究所の論文等を根拠として、正式な質問主意書を提出した。これに対し、令和七年三月二十五日、政府は、内閣総理大臣名義の答弁書において、当該毒性に関する一流科学誌の論文を厚生労働省・PMDA・審議会委員のいずれもが承知しておらず、審議会で議論したこともないことを、公式に認めたのである。

すなわち、新型コロナワクチンの抗原物質の安全性については、国会という最高の公的な場において重大な疑義が提起され、これに対する政府答弁において、その安全性に関する科学的審議そのものが不在であることが公式に認められた状態にあるのである。

このような状況下において、青森市が、安全性に疑義の残るワクチンの接種を、厚生労働省の指示を重視して推進し続けたとすれば、青森市民の健康を守る防波堤としての機能を、青森市は果たしていないこととなる。

青森市の本訴訟における答弁書は、令和八年四月十日付であり、上記政府答弁書発出から一年余りが経過している。一被害者である私が知り得る情報を、青森市が知らないはずはない。

⑤ 上記④の検査体制及び申請方法について、民間放送、地方紙、広報あおもり、その他、青森市が情報伝達できるすべての媒体において、速やかに市民に周知すること。

五 青森市が真に市民のためにあるならば

私が金銭を求めていないこと、私自身の補償ではなく被害者全体の救済を求めていることは、既に述べた。

これがまさに、本訴訟の異常さを示している。本来、被害を訴える市民の声に応えるのは、青森市保健部・感染症対策課の任務であるはずである。

青森市が真に市民のためにあるならば、上記①ないし⑤の事項は、青森市自身が果たすべき責務である。

目次
  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について

この章を聴く(録音)
  1. 語らせていただく理由・公式発言時系列記録について
  2. 公式総括の不在となぜ米国議会下院報告書を参照するのか
  3. 米国議会下院報告書の概要と主な記録
  4. 米国の手法が日本で複製された事実
  5. 米国議会下院委員会の公式勧告
  6. 市民一人ひとりが判断するために

一 ここで一度、市民の皆さんに向けて語らせていただく理由

第三章で私の被害について、第四章で青森市への一連の働きかけについて、第五章ないし第七章で財務会計上の違法行為について述べてきた。

しかし、これらは私個人の経験と、青森市が議会及び市民に対して説明責任を果たしていない事実の積み重ねである。私は、新型コロナワクチンに関するこれら以外の判断は、市民一人ひとりが自身の責任において行うものであると考える。

そのため、ここで一度、市民の皆さんに向けて、判断の材料となる公的記録の存在をお示ししたい。これは私の意見ではなく、公的機関がこれまで公式に何を発言してきたかの記録である。

二 公式発言時系列記録について

私は本訴訟において、別書証として「公式発言時系列記録」を提出する(甲第八十五号証)。

本書証は、新型コロナワクチンに関する米国食品医薬品局(FDA)、米国疾病予防管理センター(CDC)、厚生労働大臣、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、製薬会社等の公的機関及び公式発言を時系列に整理した資料である。本書証には私の意見・解釈は一切含まれていない。すべて公的機関及び公式発言のみで構成されている。

この書証を提出する目的は、市民が新型コロナワクチンに関する判断を行う際の素材として、公的機関がこれまでどのような発言を行ってきたかを、時系列で確認できる資料を裁判記録に残すことである。

三 日本における新型コロナ対策の公式総括の不在と米国議会下院報告書

1 日本における総括の不在

日本においては、新型コロナウイルス感染症対策及びワクチン施策について、米国議会下院報告書(後述)に相当する規模の公式の総括が、現在に至るまで行われていない。

ただし、個人の発言として、日本のコロナ対策の中枢を担っていた人物による事後的な見解表明は存在する。元新型コロナウイルス感染症対策分科会会長である尾身茂氏は、令和七年六月八日に放送された読売テレビ番組『そこまで言って委員会NP』において、新型コロナワクチンについて、感染防止効果は残念ながらあまりなかった旨の発言を行った。同氏はさらに、当該番組において、ワクチンの検証は分科会では行われていないこと、新型コロナワクチン接種は総合的にみて「失敗」との認識であることを述べている(甲第九十号証)。当該発言は放送直後より広く知られるところとなり、報道及びインターネット上の様々な媒体で取り上げられている。

これは、第九章四④で述べた政府答弁書(令和七年三月二十五日付、内閣総理大臣石破茂名義、甲第八十九号証)における「審議会においては、当該情報そのものについては審議したことはない」との公式答弁と呼応する事実である。すなわち、政府答弁書において審議の不在が公式に認められたことと、元分科会会長自身が分科会での検証不在を認めたことが、独立に並ぶ事実として記録されているのである。

しかしながら、これらは個人の事後的発言及び政府の答弁書にとどまるものであり、政府による公式の総括として行われたものではない。日本において、新型コロナウイルス感染症対策及びワクチン施策について、責任ある主体による包括的な検証は、現在に至るまで行われていない。

2 なぜ米国議会下院の報告書を参照するのか

ワクチンの主要生産国かつ感染症対策を主導した米国においては、議会自身が自国の対策の問題点を公式に調査し、勧告を発出している。一方、日本においては公式総括が行われていない。この対比こそが、私が本陳述書において米国議会下院報告書の概要を述べる理由である。

米国は、ファイザー社及びモデルナ社が本社を置く新型コロナワクチンの主要生産国であり、また、世界の新型コロナウイルス感染症対策において主導的な役割を果たした国である。その米国の連邦議会下院が、自国のワクチン推進公衆衛生キャンペーンを公式に調査し、問題点を指摘したという事実は、市民が新型コロナワクチン施策を理解する上で極めて重要な意味を持つ。

3 米国議会下院公式調査報告書の概要

新型コロナウイルス感染症対策に関し、米国議会下院エネルギー・商業委員会監視小委員会は、令和六年(西暦二〇二四年)、米国保健福祉省(HHS)が西暦二〇二〇年八月から二〇二三年六月にかけて実施した新型コロナウイルスワクチン推進公衆衛生キャンペーンについての公式調査報告書を公表した(甲第八十三号証)。

報告書名は「We Can Do This:An Assessment of the Department of Health and Human Services' COVID−19 Public Health Campaign」(百十三頁)である。

本報告書は、HHSの内部文書、CDC(米国疾病予防管理センター)の内部通達、FDA(米国食品医薬品局)の公式承認書、議会証言記録、HHS委託業者の内部報告書を基にしている。

4 報告書の主な記録

報告書は、以下の事項を米国の公的機関の発言・行動として記録している。

第一に、マスク着用指針の変遷についてである。西暦二〇二〇年一月から三月にかけて、CDC、米国外科医総監、ファウチ博士、世界保健機関(WHO)は、マスクの一般市民着用について「効果なし」「推奨しない」と公式に発信していた。しかし、西暦二〇二〇年四月三日、CDCは科学的根拠の説明なく方針を転換し、全員のマスク着用を推奨した。西暦二〇二二年一月、CDCは布マスクが外科用マスクやN95ほど保護効果がないことを二年越しに認めた。

第二に、ワクチンの感染・伝播予防効果に関する公式発言の変遷についてである。FDAは、ファイザー社、モデルナ社、ジャンセン社のワクチンの緊急使用許可(EUA)承認書において、いずれも「ワクチンが人から人への伝播を防ぐという証拠はない」と明記していた。しかし、西暦二〇二一年三月二十九日、CDCウォレンスキー局長は、テレビ番組において「接種者はウイルスを保持せず、感染しない」と発言した。これは三日後にCDC広報担当により撤回された。それにもかかわらず、ウォレンスキー局長は、撤回後の西暦二〇二一年五月十九日、上院歳出委員会において再び「接種後に感染しても他者に伝播させることはできない」と証言した。

第三に、ブースター接種の決定プロセスについてである。西暦二〇二一年九月一日、FDAの上級顧問二名(グルーバー部長及びクラウス副部長)は、「バイデン政権がFDAの審査前にブースター計画を決定した」として辞任した。同年九月二十三日、CDC諮問委員会(ACIP)は「十八歳から六十四歳の職業リスク者へのブースターは推奨しない」と議決した。しかし、翌九月二十四日、CDCウォレンスキー局長は、ACIPの議決を覆し、職業リスクのある健康な成人へのブースターを独自に推奨した。これはCDC史上二回目の局長によるACIP議決の覆しであった。

第四に、子どもへのワクチン接種推進についてである。西暦二〇二二年六月十八日、CDCは六か月から五歳児への接種を勧告した。しかし、同勧告書には、モデルナの二回接種後の有効率が三七・八%(サンプル二百七十八人、入院者ゼロ)であること、ファイザーの三回接種後の有効率八〇%の根拠が「サンプルわずか十人」であること、ACIPの確実性評価が「Type 4(非常に低い確実性)」であることが明記されていた。

5 HHSによる公衆衛生キャンペーンと、米国の手法が日本で複製された事実

米国保健福祉省(HHS)が実施したワクチン推進キャンペーン「We Can Do This」は、行動変容理論(健康信念モデル及び計画的行動理論)を用いて、市民の感情に訴え、行動を接種推進の方向に変えることを目的とする心理的アプローチで広告を設計したものであった。委託業者の内部調査において、月二千万ドルの広告支出にもかかわらず、ワクチン接種率及び接種意向はほぼ一年間にわたって変化なく、効果を上げなかったことが記録されている。それにもかかわらず、HHSは令和六年六月、公式記録を残さないままキャンペーン動画をYouTubeから全て削除した(甲第八十三号証)。

このような行動変容理論に基づく接種推進キャンペーンは、日本においても構造的に類似する手法で展開された。ただし、米国がHHSを直接の主体としたのとは異なり、日本では厚生労働省が直接の主体として表に出ることなく、自治体・公益社団法人・一般社団法人を介在させる構造で展開された。

具体的には、以下の二つの主要な経路が確認される。

第一に、「思いやりワクチン」キャンペーンである。これは福岡県が制作し、広告代理店「九州博報堂」が制作を請け負った広告であり、令和三年八月頃以降、ターゲットを三十代以下の若年層として放映された。InFact(インファクト)が情報公開請求により入手した九州博報堂の企画提案書には、企画意図として「若い世代の『疎外感』『孤独感』を取り除き、『正しい情報を届けて』共にワクチン接種を進めていく」との記載がある。すなわち、本キャンペーンは若年層の「疎外感」「孤独感」に訴え、接種推進という行動変容を目的として設計されたものであり、米国HHSの「We Can Do This」キャンペーンと構造的に同一である(甲第八十三号証、甲第九十一号証)。

第二に、「心のワクチン」プロジェクトである。これは、一般社団法人感染症対策コミュニケーションラボ(代表:田﨑陽典氏)が発案し、公益社団法人「小さな親切」運動本部と共同で展開しているプロジェクトである。同プロジェクトは、「親切」「思いやり」「心」といった日本人の道徳観・共同体意識に訴える接種推進及び感染症対策行動の変容を、冊子『思いやりの感染症対策』の発行、及び小学校の道徳科・学級活動で活用される教材の制作・公開を含む形で実施している。なお、一般社団法人感染症対策コミュニケーションラボの代表である田﨑陽典氏は、同団体の公式サイトにおいて、自身が「医学でも、行政でもなく、危機管理広報の専門家の立場から、国や自治体、専門家組織への助言や、感染症対策の専門家育成の支援」を行ってきたこと、及びその経歴に「原子力関連施設などのリスクについてのコミュニケーション活動の支援」を含むことを公式に表明している(甲第八十三号証、甲第九十二号証、甲第九十三号証)。

しかし、新型コロナワクチンが他者への感染を防止する効果を有するという科学的根拠は、ワクチンの緊急使用許可(EUA)承認の段階から、米国食品医薬品局(FDA)自身の公式EUA承認書において「ワクチンが人から人への伝播を防ぐという証拠はない」と明記されていたものである(甲第八十三号証、甲第八十五号証)。

すなわち、伝播予防の科学的証拠が存在しないことを米国の規制当局自身が公式に認めていたにもかかわらず、日本では「思いやり」「親切」「心」といった道徳的概念を介して、他者への配慮を理由とする接種が、自治体・公益社団法人・一般社団法人を主体として、若年層から小学生に至るまで広く推進された。

結果として、本来であれば医学的に接種する必要のなかった年齢層を含む市民にまで、接種が広く推進された。それを信じて自身が接種し、家族にも接種を勧めた市民の中に、現在、二度と癒えることのない後悔を抱える方々がいる。

6 米国議会下院委員会の公式勧告

報告書は、以下の四項目を米国議会下院委員会の公式勧告として記載している。

第一に、CDCはFDAの製品表示ガイドラインを遵守すること。FDAが承認していない効能をCDCが宣伝してはならない。

第二に、CDCは反対意見を持つ科学者を沈黙させようとしてはならない。

第三に、HHSはウェブサイトコンテンツの無告知の削除・改変をやめること。

第四に、ワクチン有害事象の報告体制を整備・一元化すること。

これらは、ワクチンの主要生産国かつ感染症対策を主導した国の議会が、自国の保健行政・公衆衛生キャンペーンに対して公式に発した勧告である。

ワクチン接種を推進した日本の各自治体が市民に対して情報提供すべき重要な公的記録である。

私は、この事実を青森市民及び傍聴の皆さんにお伝えするため、本書証を提出する。判断は、市民一人ひとりが行うものである。しかし、判断には情報が必要である。

四 市民一人ひとりが正確な情報をもとに判断するために

新型コロナワクチンを接種するか否かは、最終的には市民一人ひとりの判断に委ねられている。私は、その判断に介入する立場にはない。

しかし、判断には判断材料が必要である。

公的機関の公式発言の時系列、米国議会下院公式調査報告書、上島博士による厚生労働省公式データの分析、青森市内における健康被害申請の存在、他の地方議会の意見書採択。これらは、市民の判断材料となるべき公的記録である。

私が本訴訟を提起し、これらを書証として提出した理由は、これらの公的記録を裁判記録という公的な場に残し、青森市民の判断材料として届けるためである。

目次
  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

この章を聴く(録音)
  1. ここまで述べてきた事実の総括
  2. 核心の問いかけ
  3. 本来すべきだった訴え・私の願い・結びに

一 ここまで述べてきた事実の総括

私は本陳述書において、次の事実を述べてきた。

第二章において、第二百十七回国会衆議院財務金融委員会(令和七年二月二十八日)における仁木副大臣の答弁不能・議会中断の事実、及び名古屋地方裁判所(令和五年六月十五日)並びに名古屋高等裁判所(令和五年十一月三十日)の二度の違法判決の事実。

第三章において、私自身がワクチン後遺症の被害者として体験した事実。

第四章において、私が青森市に対して行った一連の働きかけと、青森市がこれに応答しなかった事実。

第五章ないし第七章において、青森市の基金流用、会計科目偽装、予算書操作、補助金交付決定通知書の不存在、議会の質疑ゼロという財務会計上の違法行為と監視機能不全の事実。

第九章において、被害者救済を求める根拠と、私が青森市に求める事項。

第十章において、市民の判断材料となる公的記録の存在。

二 核心の問いかけ

私が青森市に対して問いかけたいのは、以下のことである。

新型コロナワクチンに対する疑義は、様々な形で公的に表明されている。複数の地方議会による地方自治法第九十九条に基づくmRNAワクチン接種事業の中止を求める内閣総理大臣・厚生労働大臣宛て意見書(甲第八十号証、甲第八十二号証)。被告青森市と同じ青森県内の大間町議会においても同様の動きがあるとの情報(甲第八十一号証)。ワクチン主要生産国であり感染症対策を主導した米国の議会下院による、HHSのワクチン推進公衆衛生キャンペーンに対する百十三頁の公式調査報告書及び委員会勧告四項目(甲第八十三号証)。厚生労働省公式データに基づく、新型コロナワクチンの予防接種健康被害救済制度認定件数が過去四十五年間の全ワクチン認定総数を遥かに超え、副反応疑い報告における死亡報告二千百九十三例のうち約九十九%が因果関係評価不能のまま放置されている事実(甲第八十四号証)。元衆議院議員原口一博氏による、自身の悪性リンパ腫組織からの免疫組織化学染色によるスパイク蛋白検出・N蛋白未検出の結果の公表(甲第八十七号証)。これらは、いずれも公的な場又は社会において表明された事実である。

加えて、令和七年三月十三日、国会において、原口一博衆議院議員が、新型コロナワクチンの抗原物質であるスパイクタンパク質の毒性について、米国ソーク研究所の論文等を根拠として、正式な質問主意書を提出した。これに対し、令和七年三月二十五日、政府は、内閣総理大臣石破茂名義の答弁書において、当該毒性に関する一流科学誌の論文を厚生労働省・PMDA・審議会委員のいずれもが承知しておらず、審議会で議論したこともないことを、公式に認めた(甲第八十九号証)。

すなわち、新型コロナワクチンの抗原物質の安全性については、国会という最高の公的な場において重大な疑義が提起され、これに対する政府答弁において、その安全性に関する科学的審議そのものが不在であることが公式に認められた状態にあるのである。

基金流用が「国の指示通り」であるならば、令和六年度の新型コロナワクチン定期接種推進もまた、同じ厚生労働省の指示通りに行われたものと推察される。私は、国と地方自治体との間の構造的な力関係を理解している。しかしながら、安全性に疑義の残るワクチンの接種を、厚生労働省の指示を重視して推進し続けることは、青森市民の健康を守る防波堤としての機能を、青森市が果たしていないことを意味する。

このような状況において、青森市が令和六年度に行ったことは、本来「ワクチン生産体制整備及び供給確保」を目的とする基金を、約二・五億円の減額を不説明のまま、新型コロナワクチン接種事業に流用し、高齢者を中心とする市民に対する定期接種を推進することであった。

ワクチンに対する疑義が公的に表明されている状況において、市民の健康を守ることを任務とする行政が本来取るべき行動は、接種の推進だったのか、それとも、まずは事実関係を確認し、市民に正確な情報を提供し、必要に応じて立ち止まって検討することだったのか。

加えて、第八章で詳述したとおり、青森市は、コロナ後遺症については議会で件数を公表しながら、ワクチン接種後の健康被害については九九%黒塗りで隠蔽した。委託料請求一覧表九十一件・約二・三億円の配分は、市民でも取得できる情報であるはずなのに、全面黒塗りで提供された。四億円超の国庫補助金の受領について、正式な補助金交付決定通知書が存在しないことが判明している。市長は議会で三千円自己負担にのみ言及し、保健部長が議会で明言した八,三〇〇円の国助成金については、市民への説明を行わなかった。

これらの一連の行為は、青森市が、本件基金流用の実態を、青森市民から組織的に隠蔽してきた構造を示している。

なぜ、青森市は、市民でも取得できる情報を、市民に対して発信しないのか。なぜ、コロナ後遺症は議会で公表し、ワクチン副反応については黒塗りで隠蔽したのか。なぜ、国会で安全性に重大な疑義が提起された後もなお、本件基金流用による接種推進を継続したのか。

おかしくないでしょうか。

三 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え

私は、本訴訟の原告である。しかし、本訴訟が示している本質は、私が原告であるべきではなかったということである。

青森市保健部・感染症対策課は、市民の健康を守ることを任務とする部署である。新型コロナワクチンに対する疑義が公的に表明される中で、市民から繰り返し働きかけがあったとき、本来であれば、青森市保健部・感染症対策課自身が、国に対して問題を提起し、市民に対して正確な情報を提供し、被害者に対して救済の道を確保するべきであった。

そして、財務会計上の違法行為が市の内部で行われていたとき、本来であれば、青森市保健部・感染症対策課自身が、これを是正するべき立場であった。

それらが何一つなされなかったために、一被害者である市民が、本訴訟の原告となっている。

これがまさに、本訴訟の異常さを示している。本来、青森市保健部・感染症対策課が国に対して、また青森市自身に対して行うべきだった訴えを、市民である私が代わりに行っている。

四 私の願い

私が本訴訟を通じて願っていることは、第九章で述べた五つの事項に集約される。

一つ、財務会計上の違法行為を青森市自身が認めること。

一つ、被害者のために情報を公開すること。

一つ、二度と同じことが繰り返されないこと。

一つ、被害を訴える市民及び悪性腫瘍を発症した市民に対し、青森市医師会以外の中立的な医療機関を含む体制において、血液検査、免疫組織化学染色によるスパイク蛋白検出検査、N蛋白検出検査を全件実施すること。

一つ、その検査体制を、青森市が情報伝達できるすべての媒体において、速やかに市民に周知すること。

五 結びに

私は、青森市民の一人として、青森市が真に市民のためにあることを願っている。青森市民が健康な生活を送れることを強く願っている。

第三章で述べたとおり、私は五十五歳から社会生活を失った被害者である。青森市内において私以外にも苦しんでいる方々が存在することは、第九章で述べた予防接種健康被害救済制度の申請者の存在、議会に提出された請願の存在等から、客観的に明らかである。

特に若者や子どもたちには、私のような状態になってほしくない。本訴訟を提起したのは、私自身の補償のためではなく、青森市民の救済のためである。

私が被害者と考えているのは、ワクチン接種により直接の健康被害を受けた方々だけではない。「思いやり接種」というスローガンを信じ、自ら接種し、家族にも接種を勧め、その結果として家族の健康被害を目の当たりにし、二度と癒えることのない後悔の念を抱えている方々もまた、被害者であると考えている。

私が本訴訟を通じて願っているのは、自覚のない方を含めて、新型コロナワクチンに関連する被害者の、健康面・経済面における全員救済である。

これらが実現するならば、私は本訴訟を続ける必要がない。

以上

目次
  1. 第一章 はじめに ─ 本陳述書の目的
  2. 第二章 既に確定している二つの公的事実
  3. 第三章 私の身に何が起きたか
  4. 第四章 青森市への働きかけと無応答
  5. 第五章 基金流用と「国の指示通り」論への反論
  6. 第六章 「国の指示」の根拠文書自体の真正性疑義
  7. 第七章 議会の監視機能不全 ─ 答弁書による自爆
  8. 第八章 予備的請求の補強 ─ 基金流用に伴う組織的隠蔽の事実
  9. 第九章 救済要求 ─ 私が青森市に求めること
  10. 第十章 青森市民の皆さんへ ─ 公式発言時系列記録について
  11. 第十一章 結語 ─ 青森市保健部・感染症対策課が本来すべきだった訴え