青森県は、ワクチン健康被害の開示請求にどう対応したか — 記録による報告

目次
  1. 要旨
  2. 経緯(時系列)
  3. 記録された事実
  4. 私の考え
  5. 読者の皆さんへ
  6. 資料一覧

要旨

青森県内の市町村に対し、青森県が「新型コロナワクチンの健康被害救済制度」と、その関連文書の開示請求対応について、どのような指示・助言・運用基準を示してきたか。これを明らかにするため、筆者は令和8年5月24日に青森県へ行政文書の開示請求を行いました。

請求後のやり取りで県が示したのは、(1)対象文書は「特定作業中」で、文書リストは提供できない、(2)厚生労働省の通知文を含めると対象は4千枚を超える見込み、(3)絞り込みに協力してほしい、というものでした。筆者は厚労省作成分などを対象外とする絞り込みの「意向」を示したうえで、最終判断の材料として、(ア)概算枚数・(イ)写しの費用・(ウ)期間・(エ)電磁的記録の有無の見積りを依頼しました。

これに対する県の回答(6月3日)は、(ウ)期間「概ね3か月」のみで、(ア)枚数・(イ)費用・(エ)電磁的記録の有無は、いずれも「特定作業中のため示せない」というものでした。判断材料が示されないまま「絞り込みに協力を」「開示決定は2回に分け、その都度協議して不要文書を除外する」と提案されたことを受け、筆者は同日、請求を取り下げました(県は翌日受理)。

以下、双方の文言を等しく並べて記録します。

目次
  1. 要旨
  2. 経緯(時系列)
  3. 記録された事実
  4. 私の考え
  5. 読者の皆さんへ
  6. 資料一覧

経緯(時系列)

  • 令和8年5月24日 青森県電子申請・届出システムで開示請求を提出(受付番号 123121212995)。
  • 令和8年6月2日 17:32 県メール①。「特定作業中」で文書リストは提供できない/厚労省通知を含め4千枚超の見込み/6月3日中に絞り込み回答を、と依頼。
  • 令和8年6月2日 18:18 請求者返信。絞り込みの「意向」を提示し、(ア)〜(エ)の見積りを依頼。電磁的記録による交付を希望。
  • 令和8年6月3日 14:31 県メール②。(ウ)期間「概ね3か月」のみ回答、(ア)(イ)(エ)は「特定作業中で示せない」。開示決定は2回に分けると提案。
  • 令和8年6月3日 17:36 請求者、請求を取り下げ(経緯を6項目で陳述)。
  • 令和8年6月4日 16:32 県、取下げを受理。

なお、県メール①の本文には「先ほどはお電話でのご対応ありがとうございます」とあり、6月2日17:32より前に県からの電話連絡があったことが記されています。ただし、その通話の日時・内容を記録したファイルはありません。(出所:県メール①の本文)

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  1. 要旨
  2. 経緯(時系列)
  3. 記録された事実
  4. 私の考え
  5. 読者の皆さんへ
  6. 資料一覧

記録された事実

各項目は、一次資料(請求書・メール)に記録された文言の転記です。表示にあたり、請求者の自宅住所・電話番号・私用メールアドレス、および本文中の外部URLは省略しています。県の公式連絡先は公的情報として残します。

1. 請求の内容(5/24)

請求書(第1号様式・電子申請の確定版)に記載された「開示請求をする行政文書」は次のとおりです。対象期間は令和3年1月1日から本請求日まで

  • (1) 青森県が県内市町村に対して発出した、予防接種健康被害救済制度に関する通知・事務連絡・依頼文書・照会文書等の一切。
  • (2) 健康被害救済制度に関連する開示請求への対応(開示の可否、不開示・部分開示の判断、黒塗りの範囲、個人情報該当性の判断等)について、県が市町村に行った助言・指導・技術的助言(地方自治法第245条の4第1項に基づくものを含む)・運用基準の提示・参考様式の提示等の文書の一切。
  • (3) 同対応について、市町村から県への照会・相談・報告と、これに対する県の回答・助言・指示等の記録の一切(電子メール、復命書、決裁文書等を含む)。

開示の実施方法は「写しの交付」「写しの送付(郵送)」に加え、電磁的記録の交付(電磁的記録のままでの交付を希望)を選択しています。

▲ 開示請求書。住所・郵便番号・電話番号は表示前に黒塗り処理した(行政が施した黒塗りではない)。

▲ 開示請求書。住所・郵便番号・電話番号は表示前に黒塗り処理した(行政が施した黒塗りではない)。

2. 県の最初の対応(6/2 17:32)

県(保健衛生課 感染症グループ)の文言(抜粋・原文ママ):

令和8年5月24日付け行政文書開示請求の文書リストの提供につきまして、現在特定作業中のため、現段階では提供できませんので、ご了承願います。

なお、請求内容により文書を特定すると、厚生労働省発出の全ての自治体向け通知文(手引きや健康被害救済制度に係る事務連絡等)など〔外部URL省略〕も含まれ、対象期間内に何度も改訂されているため、当該文書だけで4千枚以上になる見込みです。

つきましては、公開されている文書は対象外とするなど、請求範囲の絞り込みに御協力くださるようお願いいたします。恐れ入りますが、6月3日(水)中に回答くださるようお願いいたします。

(参考)開示する文書はデータではなく写しの交付となり、交付費用『写しの作成に要する費用の額』白黒コピー@10円×交付枚数+『写しの送付に要する費用の額』郵便料金その他の実費額を納入通知書にて納めていただき、納入確認後交付することとなります。

3. 請求者の絞り込み「意向」と見積り依頼(6/2 18:18)

請求者の文言(要点):

なお、本回答は請求範囲の絞り込みに関する〔請求者〕の意向の提示であり、本請求を正式に縮減するものではございません。下記のとおり絞り込んだ場合の該当文書の概算枚数及び費用の見積もりをご提示いただいた上で、最終的な絞り込み内容を確定したく存じます。

  • 対象から除外を検討:厚生労働省が作成・発出した通知・事務連絡・手引き・Q&Aの原本、およびそれを県が判断・解釈・コメントを付さずに単純転送したもの(厚労省ホームページ公開分)。
  • 対象として残すことを想定:(1) 県が独自に作成・発出した市町村向け通知・事務連絡等、(2) 伝達時の添え状・送付状・回付文書、(3) 開示請求対応に関する県の助言・指導・技術的助言・運用基準・参考様式の提示文書、(4) 市町村からの照会・相談・報告と県の回答等の記録。
  • 見積り依頼:(ア)概算枚数、(イ)写しの費用の概算額、(ウ)開示までの概ねの期間、(エ)電磁的記録として作成・保管されている文書の有無及び概算枚数。
  • 交付方法:青森県情報公開条例第14条及び同条例施行規則に基づき、電磁的記録は当該電磁的記録のまま(PDF・Word・Excel等の元の形式)での交付を希望。電磁的記録が無い・技術的に不可能な文書は紙の写しで差し支えない、とした。

4. 県の回答(6/3 14:31)

県(保健衛生課 感染症対策グループ)の文言(原文ママ):

→(ア)(イ)(エ)について、該当文書枚数、写しの交付に要する費用及び電磁記録として作成保管されている文書の有無等は、現在特定作業中のためお示しできません。

(ウ)について、概ね3カ月程度を見込んでおり、後日正式に開示までに要する期間を通知いたします。

なお、開示決定は2回に分けて行うことにしますが、それぞれの開示決定前に、該当文書枚数、写しの交付に要する費用及び電磁的記録で提供が可能なもの等をお示しし、実際に交付する文書について協議したのち、不要な文書を除外することとしたいと考えています。

この回答は、6月4日の「取下げ受理」メールに引用同梱された形で残っています。独立した原本ファイルはありません。

▲ 県メール②。私用メールアドレスは除去、県の公式連絡先は公的情報として表示。

▲ 県メール②。私用メールアドレスは除去、県の公式連絡先は公的情報として表示。

5. 取下げと受理(6/3 17:36 → 6/4 16:32)

請求者は同日、請求を取り下げました。取下げ文の要点(請求者の文言):

私が本請求を行った目的は、青森県が県内市町村に対し、健康被害救済制度及び関連する情報公開対応について、どのような指示・助言・運用基準を示してきたかを明らかにすることです。

これに対する本日のご回答は、(ウ)期間「概ね3か月」のみがお示しされ、(ア)(イ)(エ)については「特定作業中のため示せない」とのことでした。

〔4. 本件対応について〕大量の文書数を示しながら、絞り込みに必要な判断材料はお示しいただけない。「特定作業中」というご回答が繰り返される。開示までの期間として3か月という長期を示される。これらは、青森県民の知る権利を実質的に行使困難にする対応であると、私は受け止めております。

取り下げの理由は、請求の意義を放棄するためではありません。むしろ、貴課のご対応を踏まえ、本請求の継続が、県民の健康と生命を守るという本来の目的に効果的に資するものとはなり難いと判断したためです。

県(保健衛生課 感染症対策グループ)の文言(6/4 16:32・原文ママ):

令和8年5月24日付け行政文書開示請求の取下げを受理いたしました。

▲ 取下げ申出(抜粋)。私用メールアドレスは除去。

▲ 取下げ申出(抜粋)。私用メールアドレスは除去。

▲ 県 取下げ受理。

▲ 県 取下げ受理。

6. 費用に関する記録

費用については、記録上、次の3点が併存します(いずれも転記であり、評価は加えません)。

  • 県メール①の(参考):開示は「データではなく写しの交付」となり、白黒コピー@10円×枚数+送付実費を納付後に交付する、と記載。
  • 請求者の希望:青森県情報公開条例第14条及び施行規則に基づき、電磁的記録のままでの交付を希望。
  • 県の回答:(イ)写しの費用は「特定作業中のため示せない」。

参考として、青森県が公表する制度上の費用区分は次のとおりです(一次情報=青森県情報公開条例及び県公表の費用一覧)。

  • 条例第15条(費用負担):第1項で「文書等の写しの交付」、第2項で「電磁的記録の開示」を別の項として規定し、いずれも額は「実施機関が定める額」とする。条例第14条は、電磁的記録の開示を「その種別、情報化の進展状況等を勘案して実施機関が定める方法により行う」と定める。
  • 県公表の費用一覧(写しの作成に要する費用):電磁的記録については「用紙に出力したもの=白黒10円/カラー30円」、「CD-Rに複写したもの=50円」、「DVD-Rに複写したもの=60円」と区分。なお単位が異なり、白黒10円は「用紙1ページあたり」、CD-R50円・DVD-R60円は「ディスク1枚あたり」である。
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  3. 記録された事実
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私の考え

ここから先は、請求者である私(葛西護)個人の受け止めであり、上に記した記録された事実とは区別してお読みください。

第一に、判断材料を示されないまま「絞り込み」を求められたことへの戸惑いがあります。私は絞り込みの意向を具体的に示し、そのうえで枚数・費用・期間・電磁的記録の有無という、ごく基本的な概算を尋ねました。返ってきたのは期間(約3か月)だけで、枚数の概算すら「特定作業中」でした。請求から相応の日数が経っても概算の枚数も示せないという説明は、私には合理的なものとして理解しづらいものでした。

第二に、費用の示し方への違和感です。私は電磁的記録のままの交付(条例第14条)を希望しました。県が公表する費用一覧にも、電磁的記録をCD-Rに複写する場合(1枚50円)の区分があります。それにもかかわらず、最初の説明は「データではなく紙の写し」「白黒@10円×枚数」を前提とするものでした。4千枚超という枚数を示しながら紙の写しを前提に置けば、費用は数万円規模になり得ます。なお、私が電子申請で請求しても費用は紙と同じだという趣旨の説明は、電話(口頭)で受けたもので、記録は残っていません。だからこそ私は地の文では「電子=紙と同額」とは書きません。ただ、電子で受け取りたいと求めているのに紙の写しを前提に費用が語られることへの強い違和感は、ここに率直に記しておきます。

第三に、今回の一件を通じての率直な実感として、私はいま、青森県に対して行政文書の開示請求を行い、実際に中身を受け取るのは非常に困難だと感じています。大量の文書数だけが示され、絞り込みの判断に要る概算(枚数・費用・電磁的記録の有無)は「特定作業中」として示されない。判断材料を欠いたまま「2回に分けて開示決定し、その都度協議して除外する」運用を求められ、開示までには3か月という見通しが置かれる。こうした応答が重なれば、請求者は土台を持てないまま、長い期間と費用の負担だけを見通すことになります。これは制度や担当者を断罪するものではなく、あくまで私個人の現時点での受け止めですが、同じ壁に直面する県民は他にもいるのではないかと考えています。

私はこの請求を、青森県民の健康と生命に関わる説明責任の問題だと考えています。取り下げたのは、請求の意義を捨てたからではありません。この一件の継続が目的に資し難いと判断したためであり、調査と被害者救済を求める活動は続けます。

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  5. 読者の皆さんへ
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読者の皆さんへ

ここに並べたのは、ある一件の開示請求をめぐる、県と請求者の往復の記録です。県は「特定作業中」と述べ、期間以外の概算は示しませんでした。請求者は判断材料を求め、得られないまま取り下げました。この対応をどう読むかは、記録を見たうえで、皆さんご自身に判断していただきたいと思います。同種の請求を考えている方の参考になれば幸いです。情報提供もお待ちしています。

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資料一覧

本稿が根拠とした一次資料(文書ID付き)。表示前処理(住所・電話・私用メール・外部URLの除去)を施したもののみ公開面に掲載します。

  • vaccine-2026-05/disclosure-request — 行政文書開示請求書(第1号様式・電子申請の確定版/令和8年5月24日)
  • vaccine-2026-05/pref-mail-1 — 県メール①(令和8年6月2日 17:32)
  • vaccine-2026-05/requester-mail-1 — 請求者返信(令和8年6月2日 18:18)
  • vaccine-2026-05/pref-mail-2 — 県メール②(令和8年6月3日 14:31/取下げ受理メールに引用同梱)
  • vaccine-2026-05/requester-withdrawal — 取下げ申出(令和8年6月3日 17:36/同上に引用同梱)
  • vaccine-2026-05/pref-withdrawal-accept — 県 取下げ受理(令和8年6月4日 16:32)

(注)費用区分の出典=青森県情報公開条例第14条・第15条、及び青森県「行政文書の開示請求」ページに掲載の費用一覧(白黒コピー1枚10円ほか)。

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