あなたの一票を数えているのは「機械」です — 青森県民に知ってほしいムサシのこと
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青森県民のみなさんへ
選挙のとき、あなたが鉛筆で書いた投票用紙。あれを数えているのは、人の手だと思っていませんか。
違います。機械です。
青森市の開票所では、株式会社ムサシという会社が作った機械が、あなたの一票を読み取り、分類し、数えています。
私はこの2か月、青森市に行政文書の開示を請求し、青森市がこの機械をどう使っているかを調べてきました。
この記事は5回シリーズの第1回です。
第1回(この記事):ムサシってどんな会社?
第2回:青森市での使われ方(公文書をもとに公開予定)
第3回:すでに終わった開示請求の説明と、開示された文書(黒塗り)
第4回・第5回:追加で請求した文書の開示と、審査請求への回答(届いた順に報告)
まずは、あなたの一票を扱っている会社のことを知ってください。
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ムサシってどんな会社?
株式会社ムサシは、東京の銀座に本社がある会社です。株式も上場しています(証券コード7521)。
もともとは紙の商社でしたが、1970年から選挙の機械を作り始めました。今では、選挙の機械では業界トップシェア。証券会社のレポートには「圧倒的な存在」と書かれているほどです。
ムサシの選挙事業の公式ページはこちらです。どんな製品があるか、見てみてください。
選挙の機械だけでなく、銀行でお金を数える機械なども作っています。でも、収益の中心は選挙関連です。
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あなたの一票を読み取る機械 ―「テラックCRS-VA」
青森市が使っているのが、この「テラックCRS-VA」という機械です。
投票用紙読取分類機「テラックCRS-VA」── 株式会社ムサシ 公式仕様より 読み取り速度:手書きの候補者名・政党名(漢字・ひらがな・カタカナ)を毎分660票で読み取り、自動で仕分け。 両面同時スキャン:票の裏表を同時に読み取るため、向きを揃える必要がない。 拡張性:候補者が多い選挙では、仕分け用の棚を最大125段まで増やせる。 (参考)青森市の比例代表は94,381票。この機械を2台使えば、計算上は約72分で全票を読み終わる。 |
つまり、人が一枚一枚読んで分けるのではなく、機械が一気に処理するのです。
この「速さ」が、後で大事な意味を持ちます(第2回で詳しく書きます)。
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選挙の入口から出口まで、ぜんぶムサシ
ムサシがすごいのは、選挙の一部だけでなく、ほぼ全部の工程の機械とソフトを持っていることです。
投票所では… 投票用紙を渡す機械(交付機)/投票箱の中で自然に開く特殊な投票用紙。
開票所では… 票を読み取って分ける機械(読取分類機)/票を数える機械(計数機)/票の向きを揃える機械(自動揃え機)。
さらに、目に見えないソフトウェアもあります。
名簿ソフト・期日前投票システム・当日状況をリアルタイムで見るシステム・開票結果を集計して速報を出すソフト・投票速報をスマホで報告するシステム、などです。
ここで大事なのは、これらのソフトがネットワーク接続を前提に作られていることです。名簿の閲覧も「ネットワークを利用した画面で」と公式サイトに書かれています。
つまり、選挙の機械はインターネットや行政のネットワークにつながっているのです。
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選挙があると、ムサシは儲かる
これは隠された話ではなく、新聞に載っている公開情報です。
2025年3月期、ムサシの純利益は前の年の3.4倍、25億円に急増しました。衆議院選挙と東京都知事選挙があったからです。売上は380億円。
選挙があるたびに、青森市をはじめ全国の自治体がムサシから機械を買い、メンテナンスを頼みます。選挙が多い年ほど儲かるしくみです。
これ自体は、会社として当たり前のことです。違法でも不正でもありません。問題は別のところにあります。
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ここからが本題 ― 私が心配していること
私が問題にしているのは「ムサシが不正をしている」ということではありません。
機械が出した選挙結果が正しいかどうかを、誰も確かめられないことです。順番に説明します。
① ネットワークにつながっているのに、接続先は黒塗り
ムサシのシステムがネットワークにつながっていることは、ムサシ自身の公式サイトと、青森市が出した通信記録の両方が示しています。
それなのに、青森市は通信の接続先(IPアドレス)を黒塗りにして隠しました。理由は「セキュリティのリスク」。
でも、選挙はもう終わっています。終わった選挙の通信記録に、どんなリスクがあるのでしょう。私はこの黒塗りに納得できず、審査請求という手続きで争っています(後の回で報告します)。
なお、この審査請求への青森市の回答は、異常に遅れています。私は2026年5月25日9時26分に、いつ回答が出るのかを電話で確認しました。その際は「すでに情報管理課に渡っており、もう少しで開示される」と言われましたが、本日(2026年6月23日)時点で、まだ回答はありません。
② 1社だけで、ぜんぶできてしまう
投票用紙を作り、渡し、読み取り、数え、合計し、速報を出す。この流れを、ほぼ1社で完結できます。
考えてみてください。銀行でお金を数えるときは、2人で別々に数えます。会社のお金は外部が監査します。大事なお金には必ず「二重チェック」があります。
では選挙はどうでしょう。ムサシの機械が出した数字を、別の独立した方法で確かめるしくみが、青森市にあるでしょうか。
③ 機械の記録(ログ)が残っていない
私は青森市に、選挙集計システムの電子記録(ログ)を21項目、開示請求しました。
青森市の答えは「作成していない」「行政文書として管理していない」。ムサシに確認しても「持っていない」。記録が消されたかどうかは「わかりかねます」。
毎分660票で票を読み取る機械が、その作業の記録を残していない。あるいは残っていても市が管理していない。これでは、機械の出した答えが正しかったか、後から確かめようがありません。
④ 契約書に「記録を残せ」と書いていない
青森市とムサシの契約書も、開示請求で手に入れました。2015年以降の全部です。
契約書には機械の値段や仕様は書いてあります。でも、記録(ログ)を残すこと・管理すること・市に提出することについては、何も書いてありませんでした。
つまり、ムサシは機械を納めれば契約は果たしたことになり、記録が残るかどうかは誰の責任でもないのです。
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これは「陰謀論」ではありません
私が書いたことは、すべて公開情報か、青森市が出した公文書に基づいています。
ムサシが業界トップ → 証券会社レポート
毎分660票で処理 → ムサシ公式サイト
ネットワーク接続機能 → ムサシ公式サイト
選挙で利益3.4倍 → 日本経済新聞
記録が残っていない → 青森市の通知書
IPアドレスが黒塗り → 青森市の通知書
契約書に記録保存の定めなし → 開示された契約書
「不正があった」とは言っていません。「不正があっても、見つけられない」と言っているのです。
紙の枚数さえ合っていれば、どの政党に何票入れたかが操作されても、青森市のしくみでは気づけません。これは選管の窓口で直接確認した事実です。
選挙は民主主義の土台です。その土台が、検証できない機械にゆだねられている。これを青森県民のみなさんに知ってほしいのです。
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次回(第2回)予告
第2回では、青森市で実際にこの機械がどう使われたのかを、開示された公文書をもとに報告します。
毎分660票の機械があるのに、なぜ開票速報は2時間以上「0票」だったのか。その謎を、公文書で追います。
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住民訴訟のお知らせ ― 傍聴をお願いします
私は今、青森市長を相手に裁判をしています。
青森市住民訴訟 令和7年(行ウ)第3号 判決言渡し:令和8年(2026年)8月4日(月)13:15〜 青森地方裁判所 |
裁判の傍聴は、誰でもできます。予約もいりません。法廷に行くだけです。
ひとりでも多くの青森県民に、この裁判を見届けてほしいと思っています。
この記事を読んで「なるほど」と思ってくださった方は、どうか周りの方に伝えてください。それが何よりの力になります。
